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 国内外の山で活動する登山家の野口健さん(46)が長女の絵子(えこ)さん(15)を連れて世界の高峰にチャレンジしています。著名な父と娘。親子で臨む山はどんな世界なのでしょうか。

 昨年7月、2人はタンザニアにあるアフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(標高5895メートル)の頂をめざしていました。天候は吹雪。健さんは寒さに凍える絵子さんの反応が鈍くなり、「意識が遠のきかけている」と感じました。

 

 健さんは気持ちが切れていたら下山しようと考えました。「やれるか?」と問うと、登れると絵子さん。なんとか頂に立ち、すぐに下山に入ったのです。

 

 「最初は順調で、『天気に恵まれたね』と話していたのに。でも、色々な状況の山の経験があったから登れたと思う」。そう絵子さんは振り返ります。

 

 健さんがキリマンジャロに登頂したのは17歳のときでした。以来、アルピニストとしての人生が始まり、25歳で世界7大陸最高峰に登頂。その後はヒマラヤや富士山の清掃活動などに取り組んできました。

 

 並行する形で親子登山を始めたのは、絵子さんが小学生の頃。しかも山デビューが冬の八ケ岳でした。それでも、めげなかった絵子さん。程なくしてテレビで見たことをきっかけに「キリマンジャロに登りたい」と父に伝えました。

 

 そこからトレーニングが始まりました。「合宿」と称し、土砂降りの雨も関係なし。次第に力をつけ、ヒマラヤの5千メートル級の山にも登れるようになりました。

 

 でも、10代の娘と父は微妙な関係でもあります。絵子さんに聞くと「お父さんはこだわりが強くて、面倒くさい。答えがわかっていることを質問してくる」と明かします。そんな2人もテントの中では会話が弾むそうです。健さんは「山でよく話すようになった」と娘の変化を感じています。

 

 次の目標について絵子さんは「6千メートル以上に登りたい。そのために体力をつけたい」。健さんの目標の一つは絵子さんを連れて行くこと。そして、個人の目標としてはヒマラヤの8千メートル峰マナスルを掲げます。過去3度、登れなかった山で、強い覚悟を持っています。野口親子の挑戦に期待しましょう。

  

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 野口健さんと絵子さんが山で撮影した作品を集めた写真展「父娘てくてく登山隊」が13~26日、大阪市中央区の御堂筋グランドビル2階の富士フイルムイメージングプラザ大阪で開かれます。入場無料。八ケ岳やヒマラヤで撮影した約55点を見ることができます。(金子元希)