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宮城県名取市閖上を襲った津波で家族4人全員を亡くした佐々木清和さん(53)=多賀城市=が、オリンピックの聖火ランナーとして閖上を走ることになった。震災の語り部の仲間たちと16日、聖火のルートを歩き、思いを語った。

 自衛隊勤務の佐々木さんは、震災で妻のりつ子さん(当時42)、中学生の長女和海さん(同14)、りつ子さんの両親を亡くした。5年前からほかの遺族らと語り部を始め、命の大切さを訴える姿は、中学の道徳の教科書にも載った。

 聖火ランナーに応募したのは、世界中の人への感謝を表現したいこと、「ありふれた日常を大事にしてほしい」とのメッセージを皆に伝えたいこと、そして、教科書を読んで応援の手紙をくれたたくさんの子どもたちに、自分の元気な姿を見てほしいからだと言う。

 名取市の聖火ルートは、まちづくりが進む閖上の新市街地などを通る約2キロ。16日は雨になったが、佐々木さんは街の変化を感じながら、一部の区間をゆっくり歩いた。

 ゴールは新しくできた閖上小中学校。校舎そばには和海さんを始め、閖上中で犠牲になった14人の名を刻んだ慰霊碑がある。その区間を走れるかどうかはわからないが、「できれば碑の前を走り、14人に『聖火ってこれだよ』と見せてやりたい」と話した。

 本番で走る6月22日は、妻りつ子さんの誕生日でもある。ランナーに選ばれた日、仏壇にそっと報告したという。

 (石橋英昭)