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 昨秋の台風19号では、県内で推計26万7千トンの災害廃棄物が見込まれている。県内処理のほか、7都県の官民の施設が広域処理を引き受け、畳や家具など一般家庭の片付けごみは3月までにおおむね終了。残る課題は膨大な量の稲わらで、現在も9市町が処理先を探している。

 県循環型社会推進課の3月末のまとめでは、災害ごみの発生・推計量の内訳は、稲わら10万5千トンで、それ以外が約16万2千トンだ。推計には今後本格化する家屋解体によるごみも含まれる。市町村別では、丸森町6万6千トン、角田市4万8千トン、大崎市2万7千トン、大郷町2万トンなどが多い。県は今年度末までの処理完了を目標にする。

 発生量が市町村の通常の処理量をはるかに超えたため、県や環境省は再生利用にも配慮しつつ広域処理の調整を進めた。昨年11月には仙台市と横浜市の焼却施設が、丸森町のごみ受け入れを決定。登米市は老朽化で停止していた旧クリーンセンターを1月から再稼働させ、7市町の可燃物を引き受けている。

 課題となっているのが、全体の約4割を占める稲わらだ。収穫後の稲わらは通常、農地にすきこまれたり堆肥(たいひ)に利用されたりするが、昨年の台風では、流された稲わらが大量に仮置き場に持ち込まれた。

 こうした事態に、岩手県大船渡市の太平洋セメントの工場が、焼却灰をセメント材料にする試験を経て、受け入れを決めた。同社は東日本大震災で災害ごみを資源化した実績があり、県が昨年6月に包括連携協定を結んでいたことが後押しをした。稲わら発生が多かった大崎、石巻など10市町の計2万3千トンを処理する予定だ。このほか青森県内の他社のセメント工場も受け入れている。

 だが県によると、炉に稲わらを入れる際にからまるなどの障害が発生。破砕してから運ぶといった試行錯誤が続き、処理は想定通りには進んでいないという。

 仮置き場に野積みされた稲わらは、暖かくなると腐敗が進み、においや害虫発生の心配がある。大崎市の担当者は「対策を検討中だが、なるべく早く稲わらの処理を終えたい」。大崎を含む9市町が新たな受け入れ先を探しており、調整が続いている。

 被災自治体の多くは災害廃棄物処理計画を策定しておらず、発災後、仮置き場が見つけられなかったり、ごみ発生量の把握に手間取ったりと、初動の遅れも指摘された。台風被害で策定作業が中断した所もあり、県内で計画を持つのは現在11市町のみ。次の災害発生に備え、環境省は計画策定を促している。(石橋英昭)