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 東京都北区の「シニアマンション」で入居者の大半が「拘束介護」されていた問題で、東京都が2009年に「(指導監督の対象となる)有料老人ホームに該当しない」と判断していたことがわかった。翌年以降に北区が「該当するのではないか」と指摘したが判断は変わらず、マンションは制度外に置かれたままだった。

 高齢者住宅を運営する場合、(1)食事(2)介護(3)家事(4)健康管理のいずれかのサービスを提供すると、有料老人ホームとして都道府県などに届け出る必要がある。届け出ると一定の職員数や設備の基準を満たすことが求められるほか、老人福祉法に基づいて行政の指導監督を受けることになる。

 北区のシニアマンションでは、家賃は不動産業者に、そのほかのサービス料は不動産業者と提携する医療法人にそれぞれ払う。医療サービスは医療法人が、介護サービスは同じ医療法人運営の訪問介護事業所が、食事と家事のサービスは法人の親族会社が、それぞれ提供している。

 このマンションを東京都は09年に、有料老人ホームに該当しないと判断。その年の3月に、群馬県で有料老人ホームの届け出をしていない「静養ホームたまゆら」で入居者10人が火災で亡くなる事件があった。これを受けて、都は都内の「無届けホーム」を緊急点検した。北区のシニアマンションにも立ち入りしたが、部屋の賃貸借契約を結ぶ不動産業者と介護や医療サービスを提供する医療法人が別法人であることから届け出の必要はないとした。

 マンションの運営が不適切であるとの情報があったことなどから、北区は10年に「シニアマンションは有料老人ホームに該当するのではないか」と指摘した。しかし運営形式などに変更がなかったこともあり、都は判断を維持した。その後も北区は入居者の要介護度認定のためにマンションに入った調査員などからの情報もあり、同様の指摘を続けたが変化はなかった。

 結局、北区はマンションへの指導監督が十分にできず、実態が把握できずじまいだった。「朝日新聞の報道があるまで拘束が行われているとは、まるで知らなかった」(幹部)という。

 全国でもトラブルが相次いでいることから厚生労働省は昨年5月、住居の提供者と介護などサービスの提供者が別々の場合でも、一体運営されていれば有料老人ホームに該当する場合があるとする通知を出した。

 これを受けて東京都も、都内の無届けホームの再調査を進めていたが、都施設支援課は「このシニアマンションの再検討まではできていなかった。今回の報道を受けて調査を始めた」と話している。(風間直樹)

 

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