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 先進的な学びの取り組みを応援する「第1回朝日みらい教育賞」が決まりました。279件の応募の中から姜尚中・聖学院大学長、南場智子・DeNA取締役ファウンダー、本田由紀・東大大学院教授と朝日新聞役員の選考委員計6人で選んだ受賞5団体を紹介します。

 ■グローバル賞

 ◆日米で生きる力を伸ばす NPO法人アメラジアンスクール・イン・オキナワ

 米国人とアジア人の間に生まれた「アメラジアン」。1998年から、米国人と日本人の両親を持つ子どもたちに、英語と日本語で小中学生向けの教育を提供している。

 当初はアメラジアンの子を持つ母親らによる緊急避難的な民間教育施設としてスタートした。主な教育目的は、(1)「ダブル」としてのありのままの自己を受け入れる自尊感情を育てる(2)日本と米国のどちらでも生きていける力を伸ばす――の2点。現在は小学生約50人、中学生約20人が学ぶ。

 2004年にNPO法人化。沖縄県宜野湾市人材育成交流センターの1階部分を無償貸与され、おきなわ女性財団による日本語教員の派遣なども受けている。

 創立者でもあるセイヤーみどり校長は「複眼的な視野が持てる『ダブル』の教育は、多文化共生のヒントになる。活動への理解者をもっと増やしたい」と話す。

 「平和学習」では、日米の教科書を併用し、国による歴史教育の違いを認識。日米の教員と生徒たちだけでなく、地元公立校の教員なども招いて、平和の大切さを共有している。(奥村晶)

 ◆交渉力を養う「模擬国連」 公文国際学園中等部・高等部(神奈川)

 生徒が世界の課題を議論し、解決策を探る「模擬国連」。海外の大会に多くの生徒を送り出す一方、自校でも2005年度から毎年開催し、他校も参加する大規模な大会に育ててきた。

 参加者は割り当てられた国を担当。各国の代表として意見を述べ、問題解決のための「決議」に向けて交渉していく。取り上げてきた議題は難民救済、地雷、人口爆発、代替エネルギー、森林伐採など幅広い。

 「決議」に向け、事前の下調べ、自国と近い立場の国との協力、利害が衝突する国との調整をする。国際会議のシミュレーションを通じ、生徒は多様な視点や交渉力を身につける。12年度からは英語の大会も始めた。活動が評価され、神奈川県の私立高校で唯一、スーパーグローバルハイスクールの指定校に選ばれた。

 企画や運営は、生徒が自主的に行う。今年も2月に全国から中高生のべ200人が集まる。テーマは違法薬物だ。実行委員長で高校2年の工藤礼佳さんは「国際社会では自分から発信することが大切。積極性をつけられるのも魅力」と話す。(藤田明人)

 ◆ボランティアと講義つなぐ 早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(東京)

 創設は2002年。早大の一機関で、スタッフは約20人。世界平和や国際文化財保護に貢献し、早大名誉博士だった画家の平山郁夫氏の名前を冠する。

 「元々、早稲田の建学の理念には社会貢献があります。ボランティア体験を、大学で『学術的な知』と結びつけ、グローバルな視点を持って社会貢献する人材を社会に送り出すのが使命です」と本間知佐子事務長はいう。

 学生の自主的なボランティアを公募、支援し、全学のカリキュラムにあるボランティア関連科目と結びつけている。ボランティアを一過性の体験に終わらせず、時間をかけて振り返る。教室でプレゼンし、成果を受講生が共有する講義を行っている。

 プロジェクト参加者と関連科目履修者は12年間で14万4500人。14年の公認プロジェクトは東日本大震災復興、エイズ、DV(配偶者、恋人などからの暴力)、難民交流、ボルネオプロジェクト、ラオス学校建設教育支援など32に及ぶ。これまでに海外渡航したのは3300人と、海外ボランティアも多い。(岩田一平)

 ■デジタル賞

 ◆「先輩先生」の知恵を蓄積 先生のための教育事典「EDUPEDIA(エデュペディア)」(東京)

 小中学校の教員向けウェブサービス。教え方や教材を掲載し、誰もが無料で閲覧できる。モデルとしているネット百科事典「ウィキペディア」同様、投稿・編集も自由だ。

 今年で6年目。月10万人のユーザーが訪問する。コンテンツ数は約2千。将来、1万の大台に乗せるのが目標だ。人気があるのは「授業中における指名の方法」「担任している子どもが入院したら?」といった実践的な教育方法。「『ごんぎつね』で新美南吉は何を伝えたかったか」など具体的な教材研究もある。

 団塊世代の教員が大量に退職する中、「ベテランの知恵」を蓄積する目的もある。それを継承していくことで、教員が担務に忙殺されて教材研究に時間が取れない現状の改善を狙う。

 サイトには「先生の毎日を応援する」との文字が躍る。住吉翔太代表は「頑張る先生を応援することは、生徒たちに良い授業を届けること。『この先生に会えたことが財産』と言える子を増やしたい。生徒たちのこれからの人生を応援することにつながる」と語る。(中原光一)

 ■新聞活用賞

 ◆記事で向き合う原発問題 エクセラン高校普通科・環境科学コース(長野)

 2011年3月の東京電力福島第一原発の事故を契機に、新聞を使って放射能やエネルギーについて学んでいる。環境科学コースの3年生が1学期に集中的に取り組む。今年度は主に事故から2年半と3年のスクラップをもとに学習した。

 記事を読んで議論しながら「原発の現状」「放射能の影響」「エネルギー関連」などに分類。見出しを書き写して模造紙に貼り、報道内容の特徴や時期による変化などを読み取って一人ひとりが事故の影響やエネルギー政策について意見をまとめる。記事で知った被災者や専門家らを講師に招くこともある。

 竹内久代教諭は「新聞は放射能の問題を身近に感じる手段として適している。教科書では学べない内容ばかりです」と話す。論調や切り口の違う複数の新聞を読むことで、エネルギーのあり方を決めるのは自分たちだという自覚も生まれるという。「授業を通じて新聞を読む癖がついた」「読み続けたらニュースの流れや背景がわかるようになった」という生徒も。新年度は後輩たちが新聞と向き合う。(佐藤孝之)

 ■朝日みらい教育賞とは

 朝日みらい教育賞は、グローバル時代に生きるための力を重視した教育を表彰する「グローバル賞」、情報通信技術(ICT)を利用した学びに対する「デジタル賞」、新聞を活用した授業に贈る「新聞活用賞」の3部門。

 <日本マイクロソフト社が副賞> 公文国際学園には日本マイクロソフト社が副賞を贈る。4月に米国であるICT教育研修プログラムに教員1人を招待する。選考後に授与が決まった。

 ■1次通過した団体

 【グローバル賞】教育協力NGOネットワーク、福島県いわき市教育委員会、近畿日本ツーリスト関西国際交流センター、佐賀県武雄市、NPO海のくに・日本

 【デジタル賞】慶大インターネット望遠鏡プロジェクト、プロジェクトIRC(代表校・福岡県立大)、つるみね保育園、東大大学院情報学環・反転学習社会連携講座

 【新聞活用賞】活水女子大、北星学園大経済学部

 ■フォーラム参加者募集

 朝日教育フォーラム「世界へ挑む 大学教育の未来像」を開きます。社会のグローバル化を踏まえ、大学の将来を考えます。第1部は朝日みらい教育賞の表彰式、第2部は三島良直・東京工業大学長、勝悦子・明治大副学長、吉見俊哉・東大副学長による現場からの報告です。入場無料。

 ◇2月7日(土)午後1時~、東京都千代田区のホテルニューオータニ

 ◇申し込みは、「まなあさ」サイト(http://mana-asa.asahi.com/別ウインドウで開きます)。定員350人(先着順)。問い合わせは朝日新聞教育総合本部(03・5540・7465、平日午前10時~午後6時)

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