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 第40回木村伊兵衛写真賞の受賞者は石川竜一(いしかわ・りゅういち)さん(30)と川島小鳥(かわしま・ことり)さん(34)に決まりました。対象作は、石川さんが写真集『絶景のポリフォニー』『okinawan portraits 2010―2012』(赤々舎)、川島さんが写真集『明星』(ナナロク社)です。

 昨年優れた作品を発表した新人写真家が対象です。2人には賞状と賞牌(しょうはい)、副賞50万円ずつを贈ります。石川さんは沖縄県生まれ。受賞作は沖縄の自分の身近な人たちの姿を撮ったドキュメンタリーです。川島さんは東京都生まれ。台湾で撮影を重ね、受賞作にまとめました。

 選考の詳細はアサヒカメラ4月号(3月20日発売、一部地域は遅れます)と、後日、文化面で紹介します。授賞式は4月27日に東京・丸の内の銀行倶楽部で。受賞作品展を4月11日から20日まで東京・新宿のコニカミノルタプラザで開催します。

 本賞は、写真家の故木村伊兵衛氏の業績を記念し1975年に創設しました。選考委員は岩合光昭、瀬戸正人、鷹野隆大、長島有里枝の4氏とアサヒカメラ編集長です。

 朝日新聞社、朝日新聞出版

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 2年ぶりのダブル受賞となった今回は作風の違う対照的な2人の、ありふれた日常を独特の視点でとらえた感性の鋭さが光った。2人に聞いた。

 ■「沖縄の日常、何が写る」 石川竜一さん

 沖縄県宜野湾市に住む石川竜一さんは、沖縄の人々や光景をまっすぐ見つめて切り取った2冊の写真集で受賞した。熱気や被写体の濃厚さに圧倒される。

 「ただ生まれ育った沖縄を撮っているだけ。何かを撮りたいのではない。日常を撮ると何が写るのか、それが知りたいんです」

 もともと写真は好きではなかった。転機は大学時代。2年続いたうつ状態から脱しようと、那覇の街中で、中古カメラを千円で買った。だが、現像フィルムには何も写っていない。勉強したら壊れていることがわかった。「人も写真もわからないからこそ自分でやるしかない、と。撮るうちに、みんなごまかしながらも必死に生きていることを教えてもらった」

 先のことは決めていない。「遊びに行く感覚で撮る。写真は外とつながるために必要なもの。何が撮れるか、今から楽しみです」

 ■「台湾はファンタジー」 川島小鳥さん

 川島小鳥さんは台湾に3年間通い、時に現地で暮らしながら、台湾の少年少女の姿を活写。「今できることのすべてを詰め込んだ」写真集で受賞となった。写真集はキュートだ。

 佐渡に住む友人の娘を追った写真集「未来ちゃん」の刊行後、展覧会で台湾を訪問。生き生きとした若者たちにひかれて台湾通いが始まった。「どこかファンタジーもある、楽しい星『明星』だと思った」

 1人を追うこれまでとは違い、今作では表現者としての幅を広げたいと、多くの人々を撮った。川島さんに心を許したような若者の自然体が印象的だ。「特別な被写体を見つけることがとても大切。僕には『出会い力』や『頼られ力』があるのかもしれませんね」

 もっと写真の本質に近づきたいと語る。「まだまだ修業の途中。写真が持つ面白さや魔法を習得できたらいいなと思います」

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