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 朝日新聞デジタルで展開中のアンケートでは、PTA活動に関する様々な課題が見えてきました。地域とのかかわり方や、家庭の参加の仕方などを専門家に聞きました。子どものためといいつつ、どこまで時間を割かなくてはいけないのか。読者のご意見を紹介します。

 ●仕事休みフラワー教室

 市のPTAの展覧会に出品しなければならないからと、頭を下げて仕事を休んで、フラワーアレンジメント教室に義務で参加せざるを得ない状況はおかしいと思う。(埼玉県・30代女性)

 ●不要と思える係がいっぱい

 全校2千人を超える保護者に役をあてるため、不要とも思える係がたくさんあります。講演会の参加、夜の教員との会食(費用は自分持ち)、なぜこれがPTA活動なのでしょうか。(愛媛県・40代女性)

 ●想定以上の動員に閉口

 市町村P連や学区のまちづくり協議会の年次総会に呼ばれて手たたき要員・酒飲み要員になるまでは想定内、都道府県P連以上の年次大会やセミナー、まちづくり協議会の役員やらとなると想定外でへきえき。(岩手県・40代男性)

 ●巨額繰り越し、必要あるのか

 毎年の累積繰り越しが1千万円とかの市立中学もある。実際、何のためのお金なのかが全くもって不明。(茨城県・50代男性)

 ●会費引き下げに校長反対

 毎年度余剰金がでるので、会費の値下げについてアンケート、会員の約8割が賛成だった。代議員会で提案したところ、いつもはほとんど発言しない校長、教頭が必死になって抵抗した。学校ごとのPTAは、集めた会費の一部を郡PTAに上納し、その会費のほとんどは県PTAに上納され、その一部がさらに上納されている。(長野県・40代男性)

 ●政治活動の道具にしないで

 地域の会長が集まる会議でのこと、2年ばかり熱心に活動された方が、次の地方選挙に出馬するのでよろしくとあいさつされ、後援はがきを配られた。(兵庫県・50代男性)

 ●懇親会ではチークタイムも

 校長や教頭の異動や定年退職があると役員は8千円から1万円の会費を集めてホテルでの謝恩会をした。半強制。懇親会ではチークタイムがあり、驚いたし気持ち悪かった。(大阪府・40代女性)

 ●「子どものため」の本末転倒

 委員を5年経験しました。慣れてきましたが、それでも三役に当たってしまうと、かなり自分の生活を犠牲にしての活動となりました。子どものためにやることですが、子どもを留守番させての夜間の活動、子どもの話を聞く暇さえない持ち帰り作業。本末転倒ではないかと、常々感じました。(福岡県・40代女性)

 ●誰でも参加できる活動の仕方を

 平日日中に集まるのだけは勘弁してほしいです。働く親も、親という立場では同等、参加したいし、意見もいいたい。だれでも参加できるような活動の仕方と職場におけるPTA休暇の設定をしてほしいです。(東京都・30代女性)

 ●任意を徹底、加入率90%超

 任意加入を周知し、「委員会廃止」「完全ボランティア制」にて2年運営した実績がある元PTA会長です。システムを簡素化し負担を軽減、義務的活動を廃止し自主的なサークルとして運営出来れば、それほど加入率は低下しません。子どもたちの笑顔がみられる活動なら保護者は協力してくれます。この2年間加入率が90%を下回ったことはありません。(北海道・50代男性)

 ●親と教師に地域も加えて

 PTAからPTCA(Cはコミュニティー=地域)に変わった小学校に子どもが通っています。これまでの役員の仕事の多くは、通年か単発のボランティアに分け、募集しています。(愛知県・40代男性)

 =アンケートのコメントから抜粋

 ■他組織と連携は

 PTAと言えば、学校の中で完結する組織というイメージが強いが、実際は地域活動の担い手としても期待されているのが現状だ。

 「○○小学校」「○○中学校」など学校単位のPTAを取り巻く組織には、自治会・町内会や子ども会、また教育委員会などがある。登下校の見守りや祭りなどのイベントを共催するところもあり、連携の度合いはPTAによって様々だ。

 こうしたなか、「教育委員会が主催する講演会にPTAから動員しなければならず、負担が大きい」などの声も少なくないが、「教育委員会の講演会のお知らせがあっても、PTAは会員を『動員』する義務はない」(文科省社会教育課)。

 一方、各学校のPTAは、「日本PTA全国協議会」を頂点とする日本最大の社会教育関係団体を支える存在でもある。ただし、上部団体に所属するかどうかの選択は各PTAに任されており、任意加入が原則とされている。(堀内京子)

 ■「子どものため」に特化する 大塚玲子さん

 役員決めの季節ですが、低学年では、役の奪い合いになっている学校も多いのではないでしょうか。

 「早くノルマを終わらせて働きに出たい」と思っているお母さんが多い一方で、「本当は嫌なものではない」と気づき始めている人もいます。PTA活動をやると、知り合いが増え、学校や受験のこと、地域の情報が入ってくる機会にもなります。

 ただPTAは、平日昼間の活動が多い。今は働く母親が増えているのに、活動は肥大化し、ギャップが広がっています。あり方を変えようとすると、意見が噴出して時間がかかるため、前年と同じになりがち。

 委員会も、いつ何回ぐらい集まればいいのか、どのくらいの負担になるのか。活動の中身が見えません。活動の中身が見えないから、やりたくない人が増え、「言い訳は許さない」という雰囲気になってしまいます。

 「活動が楽しくない」ということも、役員をやりたくない理由の一つだと思います。上部団体から動員をかけられたり、会報の内容にダメ出しをされたりしたということも聞きます。

 では、どうするか。最近は、すべての活動を洗い出し、いつ何があるか、何回集まればいいのかを明確にして、個々にボランティアを募るところもあります。一人一役を全員のノルマとするところもありますが、できれば強制は避けたほうがいい。

 活動内容も、本当に子どものためになることだけにして、楽しいことをやればいいと思います。親子で遊ぶという目的を明確にして、鬼ごっこ大会を開いたところもあります。保護者がバラバラだとできないことを一緒にやるという視点で見直せばいい。もしかしたら、PTAでなくてもいいのかもしれません。

 (聞き手・杉原里美)

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 おおつか・れいこ 1971年生まれ。編集者・ライター。結婚や離婚、子どもなど、家族をテーマにしている。近著に「PTAをけっこうラクにたのしくする本」「オトナ婚です、わたしたち」など。

 ■地域を巻き込んで動こう 小松郁夫さん

 PTAのあり方を、考え直す時代に来ていると感じています。公立学校の経営自体が大きな転換期を迎えているからです。

 「授業」という言葉があるようにこれまでの学校は「授ける」が当たり前でした。学校や教育委員会、文部科学省など「供給サイド」が決めたことを授け、PTAにもその手伝いを頼む。しかし近年は、子どもや保護者、いわば「需要者サイド」に寄り添った「受業」に方向転換することが重要になっています。

 今年3月、政府の教育再生実行会議が全ての学校をコミュニティースクールにすることを提言しました。実現すれば、学校の地域の核としての役割が重視され、学校運営協議会には、地域や保護者の代表などが関わり、校長の経営方針を直接聞き、意見を言えるようになります。

 ところが、保護者側の現実はどうでしょう。かつては、子どもの教育は学校任せ、PTAは人手の足りない行事などで期待される学校の「応援団」でした。

 しかし、少子化、共働きや1人親世帯の増加、介護問題など、保護者が学校生活を考える余裕がなくなっています。PTA活動は多様化し、負担は増える一方です。

 地域を巻き込むことが大切です。かつて関わったコミュニティースクール型の学校は、地域と保護者で子どもの問題行動を減らす取り組みをした結果、コンビニの前に集まる子が減り、学区のマンションの値が3割近く上がりました。ある小学校では卒業生の地域住民が、余裕のない保護者に代わって学校行事に関わり、「孫の学校を変えよう」と意気込んで知恵を絞るお年寄りもいます。

 地域住民と保護者、学校が連携して新しい学校を創造する時代です。

 (聞き手・宮坂麻子)

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 こまつ・いくお 1947年生まれ。元国立教育政策研究所教育政策・評価研究部長。学校経営学が専門。国の有識者会議で副座長を務め、各地の教育委員会に助言。編著に「『新しい公共』型学校づくり」。

 ◇次回10日は『PTA:3 みんなの意見』 11日は『18歳選挙権』

 ◇ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするか、〒104・8011(住所不要)朝日新聞オピニオン編集部フォーラム担当へ。

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