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 ◇Reライフ 人生充実

 実家で独り暮らしの母の物忘れがひどくなってきたので、そろそろ老人ホームに入居することを提案しようと思います。有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅があり、どちらにしようか迷っています。

 高齢者の施設にはいろいろあり、料金や契約方法も様々です。

 介護カウンセラーをしている私のお客さんで、最近、「介護付き有料老人ホーム」から「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)に移った人がいます。東京・丸の内で働く娘がいる80歳代半ばの女性です。認知症で、身の回りの世話全般に見守りや手助けが必要な要介護2です。

 毎日のように母親に会いたいという娘さんの希望で、最初は東京駅からJRで30分ぐらいの介護付き有料老人ホームを紹介しました。ところが1年が過ぎたころ、娘さんの自宅近くにサ高住ができました。介護付き有料老人ホームは入居時に一時金として580万円を支払いましたが、そのサ高住は無料です。娘さんは毎日1時間以上長く一緒に居られるからと、母親を早々に移してしまいました。

 ところが、移って1週間も経たないうちに娘さんから電話がありました。聞くと、母親の部屋に泊まっていると言います。理由は(1)ケアがよくない(2)安否確認が不確か(3)居室に母親を見守るためのセンサーをつけさせてもらえない――などというものでした。

 なぜこんなことになってしまうのでしょうか。

 それは「サービス付き」という名称を過信したためではないかと思います。サ高住は基本的に賃貸住宅です。サービスといっても管理人程度の人を置くだけの施設もあります。介護は自宅で受けるのと同じように、外部の業者に依頼することになります。

 一方の「介護付き有料老人ホーム」は包括的なサービスなので、介護保険の決まりに沿って時間ごとの見回りサービスなどがあります。前にいたホームでは少なくとも2時間ごとに職員が来て声をかけてくれていました。

 サ高住で声かけがないと寝てばかりになるので、日中は食堂のテレビの前に座らせてもらうことになりました。ところが、食事時間外は誰もいません。広い空間に1人ポツンといることになり、結局、居室に戻りました。

 そんなことから半年が過ぎた頃、娘さんは請求書の金額が上がったことに気づきました。内訳を確認すると、居室から玄関までの数メートルの移動介助にも1回1500円のサービス費がかっています。そのサ高住で毎月必要なのは、家賃と共益費と基礎サービス費です。その上に食費、水道光熱費、移動介助など介護保険が適用されないサービス費が加算されて36万円になっていました。介護サービスの1割の自己負担は、外部の事業者に支払うものなので、別にかかります。介護付き有料老人ホームの入居一時金580万円を考慮してもサ高住の方が割高です。

 サ高住は、元気だけど一人暮らしになったり、離れて住む子どもの近くに移ったりする場合には有効なことがありますが、介護の必要な人には不向きなことがあります。

 有料老人ホームは選び方を間違えると生活設計にも影響します。この連載では基礎からお伝えしていきます。

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 中村寿美子 介護カウンセラー。「有料老人ホーム・介護情報館」館長。著書に『親の介護が必要になったときにやるべきこと』など。

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