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 朝日新聞社のクラウドファンディング・サイト「A―port(エーポート)」が始まって4カ月が経ちました。インターネット上で、夢やアイデアを提案し、広く一般から資金を集める仕組みです。3月に支援募集を始め今月までに終了した7件すべてが目標金額を達成。2300万円以上を集めたプロジェクトもあります。A―portは挑戦者とそれに共感する支援者との懸け橋。新聞社ならではの発信力を生かし、広い層に訴求できます。いまも資金を募っている案件と、資金集めに成功した事例を紹介します。

 ■被爆者たちの思い、広島で歌い記録

 原爆を描いた漫画「はだしのゲン」の作者、故・中沢啓治さんの詩を歌にした「広島 愛の川」が、被爆70年の8月6日、広島市の原爆ドーム前の川で催される「とうろう流し」で歌われることになった。この様子を記録に残すため、作曲家が支援を募っている。

 起案したのはAKB48、JUJUらに曲を提供する東京都三鷹市の作曲家、山本加津彦さん(36)。広島の子どもたちが歌う様子をビデオ化してホームページ(HP)で配信し、世界で読まれている「はだしのゲン」のように、DVDにして世界各国の合唱団などに寄贈する予定だ。

 ビデオ監督はMr.Childrenなどのミュージックビデオを手がける広島市出身の映像作家窪田崇さんが務める。

 中沢さんは原爆で父と姉、弟を亡くし、その後妹も失った。晩年、広島市内の病院に入院中、街を流れる川をモチーフに自身唯一の詩を残した。中沢さんの死後、妻ミサヨさんが自宅で原稿を見つけた。

 新聞に載った詩を目にした山本さんは、ピアノに向かい、浮かんできたメロディーを口ずさんだ。中沢さんの思いに触れ、涙があふれた。広島に赴き、ミサヨさんに会った。「あなたみたいな若い人に曲を作ってほしい」と詩を託された。

 完成した曲は歌手・加藤登紀子さんの歌で昨年、CDになった。山本さんは合唱曲としてHPで公開、様々な場で歌われている。

 山本さんはいう。「中沢さんはじめ多くの方が戦争で家族を失いながらも、我慢して、子どもたちの代には笑顔に、幸せになってほしいとつないでくれた思いを、この歌を通じて次の世代につなぎたい」

 《目標額》300万円

 《特典例》3千円支援で「広島 愛の川」HPにメッセージ掲載など

 ■ドラム缶楽器、国際大会へ

 スチールパンは地球の裏側トリニダード・トバゴで20世紀半ばに生まれた。ドラム缶の底をたたき、へこませて作る。日本の第一人者、原田芳宏さん(49)は1980年代の米ニューヨークでこの楽器に出会った。

 ビルがひしめく一角。黒人が奏でるメロディーは、柔らかい光の粒子を天空に向かって吹き上げるかのようだった。すさんだ街の一角を「地上の楽園に変えていた」。原田さんはとりこになり、トリニダード・トバゴでオーケストラのメンバーになった。

 今年8月、発祥の地から招かれ、日本で育てた楽団「パノラマスティールオーケストラ」を中心に60人で国際大会に出場する。

 今は日本で白血病の治療をしており、今回は17年ぶりの「帰還」だ。赤道近くでスチールパンをたたくと、日本での音色とは違うという。「楽器が『俺の国だ』と喜んでいるのかな」。長くつきあっても新しい発見がつきないという。

 大会で演奏するのは、自ら作曲した「火の鳥」。病をはじめ困難があっても「不死鳥のごとく飛び立ってゆく」との思いを込める。

 《目標額》200万円

 《特典例》5千円支援で新作CDなど

 ■食事付き塾、福島を元気に

 福島県白河市に住む鴻巣麻里香さん(35)は子どもたちにご飯と勉強のサポートを無料で提供する塾を地元に作る準備をしている。

 白い肌に大きな瞳。オランダ人の母と日本人の父の間に生まれた。「ハーフと呼ばれて悩み、自分らしくいられる居場所を探してきた」という。大学院修了後、精神保健福祉士として活動し、女の子のお母さんにもなった。

 2011年の東日本大震災では、子どもをはじめ被災者の心に向き合った。おねしょをしたり、学校へ行けなくなったりした子ども。放射線の不安にとまどう親。子も親も少し休める所を用意すれば救われるのに、と何度も思った。

 塾作りに踏み切らせたのは自身の病気だった。脳の腫瘍(しゅよう)が悪化し、開頭手術を受けた。「拾っていただいた命」と決意した。

 震災後、行き場がなく、子どもとコンビニの駐車場で一晩を過ごしていた親子たちが「立ち寄って元気になってもらえる場にしたい」と願っている。

 《目標額》65万円

 《特典例》5千円支援で感謝祭招待など

 ■米LGBTアニメを吹き替え

 「LGBT(性的少数者)って何?」。東京五輪に向けて、多様な生き方を考える授業の延長で、青山学院大生らが立ち上げた「青山BBラボ」。LGBTについて知り、多様性を認める社会をつくるプロジェクトを企画した。

 指導教官の岩渕潤子さんが米国で話題のアニメに着目。学生たちは、このアニメの日本語吹き替え版を作ることを決めた。

 アニメは米国の映像アーティスト、ロバート・カーニリアスさんが作った「マックタッキー・フライドハイ」。学園が舞台で、自分の男性としての体に違和感を持つホットドッグ、ゲイを公表したアメフト選手のフライドポテトらが登場する。

 同ラボの村上諒子さん(21)は「LGBTは話すのに勇気がいる感じだったけど、アニメでみんなの理解が深まれば」と話す。

 《目標額》50万円

 《特典例》5千円支援で、イベント招待、青学カレーなど

 ■天然醸造しょうゆ、魅力伝えたい

 酵素や食品添加物を使わず、自然に1年かけて醸造する「天然醸造しょうゆ」の良さを伝えたいと、福井市の老舗「室次(むろじ)」が支援を求めている。幕末、坂本龍馬が滞在した旅館に納品していた縁から、龍馬をかたどった磁器ボトルで売り出す計画だ。

 室次は天正元年(1573年)に醸造業を始めた。天然醸造しょうゆは、手間と時間がかかるため大量生産には向かず、国内のしょうゆ生産量の1%に減ったが、コクや深みが自慢だ。

 目標金額達成後、500ミリリットルのボトルの製作に入る。

 《目標額》60万円

 《特典例》3800円支援で龍馬ボトル1本など

 ■芸術家集団に迫る映画、上映会

 全国各地で活躍する20~40代のアーティスト集団「C-DEPOT(シーデポ)」の記録映画を東京・渋谷で上映したいと、映画監督が支援を求めている。ジャンルを超えてゆるやかにつながり、響き合う、新世代の芸術家のあり方を問いかける内容だ。

 双子のドキュメンタリー映画作家、都鳥拓也・伸也兄弟は昨年1年間、C-DEPOTの活動を追った。

 C-DEPOTを率いるのは、画家・金丸悠児さん(37)。19世紀オーストリアの「ウィーン分離派」のように、若手が集まって現代芸術を追求しようとC-DEPOTを立ち上げた。

 徐々にメンバーは増え、絵画、写真、版画、造形、染色などの作家約80人が所属。近年はアートイベントやホテルの展示など、多様な発表機会がある。

 映画は「響生(きょうせい) アートの力 アーティスト集団C-DEPOTの軌跡」。11月の上映イベントの開催資金を募る。「ロスジェネ世代の表現者の底力を伝えたい」と意気込む。

 《目標額》60万円

 《特典例》5千円支援でイベント招待券1枚とDVDなど

 

 ■メディアとの化学反応、すごい[捕鯨の映画]/大勢のファンとの縁は財産[紅型の食器]

 目標額を大幅に上回る資金を調達した2人に、ファンディングの感想や、A―portの魅力を聞いた。

     *

 <捕鯨の映画> ニューヨーク在住の映画監督、佐々木芽生(めぐみ)さん(53)は、イルカやクジラを捕らえる「捕鯨」についてのドキュメンタリー映画の制作資金を募った。目標は1500万円だったが、支援は1824人、計2325万円に達した。

 「捕鯨という難しいテーマで、最初は達成できるかどうかも不安でした。シー・シェパードから名指しで批判されるなど困難もある一方、大きな支えをいただきました。感無量です」。古里の札幌のほか、東京、京都、大阪、奈良、長崎、福岡など全国でイベントを開き、支援を訴えた。

 夢をつかんだ舞台「A―port」について、「クラウドファンディングが、メディアとかけ合わされて起きる化学反応がすごかった。適切な言葉選び、発信方法、メディアへのアプローチまで、アドバイスをもらえたのも幸いでした」と振り返る。

 5年間の取材を経て、これから映画の完成、公開へと歩みを進める。賛成・反対双方の立場を踏まえた作品にする予定だ。「応援を支えに、あらゆる局面でベストを尽くします」

     *

 <紅型の食器> 沖縄の伝統染色技法「紅型(びんがた)」作家の新垣優香さん(30)は、紅型の魅力を広く伝えたいと、紅型デザインの食器を制作するプロジェクトを立ち上げた。オープン初日に早々と目標額の50万円に達し、最終的に目標の3倍を超える164万4千円の調達に成功した。

 「新しいチャレンジを応援できて、ファンとして光栄です」「一目ぼれ的な感じ。同い年の方が作ったと知り、応援したいと思いました」……。新垣さんは「今回の挑戦では、支援者からの応援メッセージが心強かった」という。

 支援者237人のうち、知り合い以外が7割を超えたといい、A―portで新たに大勢のファンとつながったことが財産となった。「もともとお知り合いの方も、初めて出会えた方も、紅型を身近な生活に採り入れたいと思ってくださったことがうれしい。多くの方に日々支えられているんだと改めて感じました」

 

 ◇クラウドファンディングは、インターネットを通じて、起案者がアイデアを提案し、「実現させたい」と思う一般の支援者から広く資金を集める仕組み。支援者は金額に応じた特典がもらえます。

 ■詳しくはサイトへ https://a-port.asahi.com別ウインドウで開きます

【支援に関するお問い合わせ】

 メール call@a-port-mail.com

 電話  03-6869-9001(祝日を除く月~金曜の10~17時)

【起案に関するお問い合わせ】 上記サイトから

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