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 有料老人ホームはいろいろあって選択に困ります。特に「住宅型」と「サービス付き高齢者向け住宅」の違いがわかりません。明確な違いがあるのでしょうか。

 3年ほど前から大手の介護サービス会社が運営するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のひとつで暮らす友人の話です。

 ある日、別の入居者が緊急連絡装置を使って救急車を呼びました。当然、職員が飛んで来て手助けをするものと思ったのですが、救急隊員に合鍵を渡すだけで部屋に姿も見せなかったといいます。

 全てのサ高住でこのような対応をするわけではありませんが、そのサ高住の契約書には「原則として救急車には同乗いたしかねます」という一文が入っていました。

 サ高住に義務づけられているサービスは「午前9時から午後5時までの生活相談」と「安否確認」の二つです。生活相談といってもホームヘルパー2級(介護職員初任者研修終了)の資格があればよいので、専門性が高い人とは限りません。サ高住は、有料老人ホームに求められる様々なサービスや設備が義務づけられていない「簡素な老人ホーム」と言えます。

 有料老人ホームは消防法の決まりで、職員と入居者が毎年、消防訓練をします。消火のためのスプリンクラーの設置も義務づけられています。ところが、サ高住にはいずれの義務もありません。

 住宅型有料老人ホームは食堂、健康管理室、特別浴室、汚物処理室などを設ける義務がありますが、ほとんどのサ高住は事務室と食堂があるだけです。汚物処理室とは、汚れたおむつなどを保管する場所です。これがないために、交換してもらったおむつがゴミ収集の日まで部屋に置かれるサ高住もあります。

 部屋のゴミ出しや掃除といった日常の世話の費用も確認が必要です。住宅型ホームの多くは月々支払う「管理費」や「生活支援サービス費」に含まれますが、サ高住はこうしたサービスが契約に入っていないことが多いのです。

 サ高住の部屋には鍵がついていて職員は勝手に入ることができません。自立して生活できるうちは当たり前のことですが、介護が必要になると、自宅に訪問介護を呼ぶのと同じ状況になります。

 例えば、部屋の掃除ができた人も、要介護度が上がると自分でできなくなります。これを介護保険のサービスに入れるとしても、使えるサービスは、要介護度に応じて1カ月の利用限度額があります。限度内であれば、自己負担は所得に応じて1割か2割(8月から)ですが、限度額を超えた分は全額が自己負担になります。体調管理なども自分次第です。

 厚生労働省は7月から、サ高住を有料老人ホームの一種と位置づけています。老人福祉法では高齢者を住まわせ、食事を出すなどのサービスをする施設は、すべて有料老人ホームになるからです。9割以上のサ高住は、食事を提供しています。

 サ高住は費用が安く見えますが、サービスが限られているためなのかもしれません。有料老人ホームとみなすなら、同じ基準を適用しなければ、誤解して入居する人が続く心配があります。(全10回)

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 中村寿美子 介護カウンセラー。「有料老人ホーム・介護情報館」館長。著書に『親の介護が必要になったときにやるべきこと』など。

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