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 「毎日開店」が当たり前だった飲食や小売業で休業日が目立ってきた。人手が足りず、やむを得ず休む居酒屋がある一方、社員をリフレッシュさせて営業日のサービス向上につなげようという百貨店もある。営業時間を長くして稼ぐビジネスモデルは、潮目を迎えたのか。

 ■ワタミ・大庄、人手不足で人件費高騰

 月曜夜、東京都大田区の居酒屋「坐・和民」大森北口店の前をサラリーマンらが素通りしていく。週に1度の定休日だ。運営するワタミは2月から、全体の4割ほどの約240店で定休日を設けた。1992年に「和民」を開いて以来初めてだ。小田剛志取締役は「アルバイトの確保がままならない」と話す。

 同業の大庄も昨年1月、定休日の設定を発表。「庄や」など全国約600店の一部が対象で月曜が中心だ。こちらも「庄や」を出し始めた73年以来初めて。

 外食や小売りは毎日のように店を開けるため従業員は休みにくい。転職サイト「DODA」が2013年に20代~30代前半を対象に調べたところ「小売・外食」の従業員の休日は全業種で最少の110日。最多の「メーカー」より16日少ない。

 休みにくさもあって希望者は増えず、人手不足が目立つ。ホテルなどの従業員を含む「接客・給仕」の6月の有効求人倍率は2・91倍。全体の3倍近くある。

 ワタミや大庄は、閉店の影響もあり、国内全店の売上高が減少傾向。人手不足で人件費が高騰する中、客足が期待しにくい日の休業は合理的だ。日本フードサービス協会によると「パブ・居酒屋」の全店売上高は14年まで6年連続で前年を下回る。休業日が業界に広がる可能性がある。

 ■三越伊勢丹、運動会で従業員交流

 百貨店の三越伊勢丹ホールディングスは、11年に首都圏9店で、元日以外の休業日を約10年ぶりに復活させ、現在は元日を含め年3~5日に。7店が休む今月25日には、21年ぶりの社内運動会を開く。パートや役員も含む約3500人が汗を流す。大西洋社長は、休暇と従業員間のコミュニケーションが営業日の接客を向上させると考えており、「休業日はできるだけ増やしたい」と話す。

 百貨店やスーパーなど大型小売店の休業日は減ってきた。経済産業省の商業動態統計によると96年に年19・6日あったが、14年は1・5日。44日以上の休業を義務づけていた規制が94年から緩くなったのが一因だ。いまも高島屋や大丸松坂屋の休業は原則として元日のみで、そごう・西武は無休。もっと休もうという三越伊勢丹は異色だ。

 それでも人手不足に伴う「圧力」は業界全体にかかる。百貨店に商品を納めたり販売員を派遣したりしている食品メーカーやアパレルの業界団体は11年から、百貨店各社に休業日を増やすように求め続けている。老舗菓子屋「虎屋」の黒川光博社長は「厳しい環境では、いい人材を集められない。結果的に取引先の百貨店にもマイナスだ」。

 日本総研の山田久チーフエコノミストは「人口減と景気回復に伴う人手不足で人件費が高騰し、長く営業して稼ぐモデルが通用しにくくなってきた。営業時間を縮めても稼げるようにしようという動きは今後も広がる」とみる。

 (奥田貫、北川慧一)

 

 <訂正して、おわびします>

 ▼20日付経済面「居酒屋・百貨店に広がる休業日」の記事で、大庄が全国約600店の一部で定休日を設けたのが「昨年2月から」とあるのは、「昨年1月から」の誤りでした。また「大庄は国内店の売上高が右肩下がり」とあるのは、「閉店の影響もあり、国内全店の売上高が減少傾向」でした。閉店や開店の影響を除いた既存店(13カ月以上営業している店)ベースでは、今年に入って前年同月を上回っています。

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