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 85歳で「要介護3」の母の有料老人ホームを探しています。入居一時金だけを払う方式、一時金なしで毎月支払う方式、さらには両方を払う方法もあるようで、どれを選べばよいのか迷っています。

 かつて、有料老人ホームは、お金持ちが入居の時に何千万円という一時金を払うことが普通でした。最近は、公的介護保険ができて前より介護費用の自己負担が減ったため、それほどのお金持ちでなくても有料老人ホームを使うようになりました。

 できるだけ自宅で介護をして、介護度が重くなってから有料老人ホームを探す人が多いため、入居期間は短いだろうと、一時金よりも毎月の支払いを選ぶ傾向があるようです。ただし、老人ホームで適切な介護を受けると元気になる人がいるようで、思わぬ誤算もあるようです。

 人の寿命はそれぞれですから、一時金と月々の支払いのどちらが得とは言えません。理解を深めるために一時金の仕組みを解説しましょう。

 まず、一時金は「家賃の前払い」のようなものだと考えてください。老人福祉法で、有料老人ホームが受け取ることができる一時金は、家賃に相当するお金と管理費や日常生活支援のサービス料をまとめて支払う「前払い」か、賃貸住宅の保証金と同じように家賃の数カ月分を預ける「保証金」の2種類だけと決まっています。かつてはゴルフ会員権のような「権利金」などがありましたが、禁止されています。

 入居一時金で前払いをすれば、毎月の支払いは食費や介護費用の自己負担分などに限られます。前払いの期間(償却期間)は、入居期間を5年として計算することが標準です。ただし、高齢の場合は短かったり、年齢が低ければ長くなったりします。

 一時金を支払い、不幸にして想定の入居期間より早く亡くなった場合には一時金が戻ります。ただ、気をつけなければいけないのは「初期償却」です。

 入居と同時に一時金から差し引かれるお金で、法律の決まりはありませんが、大手の老人ホームの場合、一時金の3割となっているところがあります。一般的には2割前後です。

 仮に1千万円の一時金を支払って入居したとして、2年後に解約したり亡くなったりしたとします。その場合、初期償却が2割であれば、まず200万円が差し引かれます。残る800万円の5分の3にあたる480万円が戻ります。

 06年度からは、一時金に「クーリングオフ」の制度ができました。入居から90日以内の解約であれば初期償却は適用されず、ホームに滞在した日数の実費が差し引かれた一時金が戻ります。

 06年度以降に開設された有料老人ホームであれば、500万円までは銀行の保証などをつけることが法律で義務づけられています。このため、運営会社が倒産しても、一定額は戻ります。銀行の保証があるかどうかは、「重要事項説明書」などに載っている「保全措置の実施状況」で確認ができます。

 償却期間が過ぎても、新たに家賃などが必要になることはありません。そうなると、毎月の支払いを続けるよりも「得」になります。長生きする時のことを考えると、一時金で払えるのであれば払ってしまったほうが安心感があるようです。

 (「介護情報館」館長・中村寿美子)

 =全10回

 

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