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 有料老人ホームは、契約方式にもいろいろあるようです。どのような方法で契約したら亡くなるまで安心して暮らせるでしょうか。

 有料老人ホームの契約方式には大きく分けて「利用権」「借家権」「所有権」の三つがあります。

 これを聞くと、多くの人が所有権が一番安心ではないかと受け止めます。マイホームの感覚で考えるためですが、実際は所有権が一番やっかいです。わかりやすいのは入居者が亡くなった後です。すぐに新しい入居者がいればよいのですが、そう簡単には現れません。有料老人ホームにはいろいろなサービスがあるため、管理費などの経費が高くつきます。子供が相続しても入居には早いので経費ばかりが出ていくことになり、「ただでもいいから手放したい」ということになります。

 私が相談を受ける方の中には、家を借りる感覚で有料老人ホームの契約を考えている方が多くいます。でも、有料老人ホームは別の基準で考える必要があります。

 というのは、老人ホームでは、入居者の身体の状態に合わせた介護サービスを提供するために部屋を移ってもらうことがあるからです。例えば、要介護度が低い人でも体調が悪い時に一時的に利用する「一時介護室」があります。さらに、要介護度が重くなって24時間の世話が必要になると「介護棟」に移ることもあります。介護棟が全く別の地域にあるため、「引っ越し」が必要なホームもあります。介護棟は、介護が必要な人をフロア別に集める態勢をとっていることが多く、本人や家族と相談して、軽介護のフロアから認知症介護のフロアに移ることもあります。

 これは、マンションの部屋を借りるような借家権の契約では原則としてできません。なぜなら、借家権は、特定の部屋を借りる契約なので、部屋を変わるたびに新たな契約が必要になるためです。これに対して有料老人ホームに多いのは「利用権」という方式での契約です。

 利用権は、建物内の共用設備と各種サービスを利用するための権利です。有料老人ホームは、不動産を利用して生活するというより、そこで提供される介護サービスを利用するための施設なので、建物よりも設備や職員のほうが重要だということです。

 利用権方式で注意が必要なのは、認知症が進行して他の人に迷惑をかけたり、目を離すと転んでけがをしたりすることが増えると、精神科病院に入院させてしまうホームが一部にあることです。ホームの重要事項説明書などには、入院が長期になった時には解約するという一文が入っていることがあります。認知症で入院しても、この規定が適用されることがあるので、契約の際にはよく確かめる必要があります。

 こうした経験を聞いて、居住権が保証されている借家権のほうが安心だと思う人がいます。ところが、私のところには、借家権で契約したのに認知症が進行したことで退去させられたという相談もあります。実は、借家権で入居しても、パンフレットや重要事項説明書を読むと「他の利用者に迷惑がかかるような行為が起きた場合には解約となります」という一文が入っていることが多いのです。繰り返しになりますが、確認が大切です。

 (「介護情報館」館長 中村寿美子)

 =全10回

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