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 民間の有料老人ホームの虐待騒動を聞くと、やはり公的な老人ホームである特別養護老人ホームに入りたくなります。どんなことに気をつければよいでしょうか。

 

 特別養護老人ホーム(特養)のほとんどは自治体か公共性が高い社会福祉法人(社福)が運営していて、比較的安いため、入所者数に匹敵する人が順番待ちをしています。2015年度からは、原則として要介護3以上の人しか申し込むことができなくなり、ますます入所のハードルが高くなりました。

 特養には常駐ではありませんが主治医がいます。一般的に有料老人ホームは入院が必要な病気になると退居を求められることがあるため、特養のほうが最後まで暮らすことができる傾向があります。ただし、最近は胃に穴をあけて直接栄養を摂取する「胃ろう」など、医療の必要性が高い利用者が増えているため、特養によっては医療依存度の高い人の受け入れに定員があるところがあります。

 戦後生まれの団塊世代があと10年で75歳を超えるため、介護が必要な人は今後、ますます増えていきます。すでに、首都圏や関西圏などの大都市部の介護施設不足は深刻で、東京の新宿区や目黒区のように、郊外の特養に区民のためのベッドを確保するケースもあるほどです。

 人気抜群の特養ですが、多くの相談に乗ってきた私の経験から、比較的入りやすくなる方法があります。

 特養を運営する社福の多くは、有料老人ホームやデイサービスなども運営しています。そこで、介護が必要と認定されたら特養に併設されているデイサービスを利用して、名前と顔を売っておきます。介護度が上がって待ちきれなくなったら、入りたい特養を運営する社福の有料老人ホームに入ります。明示されたルールではありませんが、介護をするのも人です。介護の必要性が同程度ならば、身体の状態や人柄がわかっている人を選ぶのは人情です。

 さらに、同じ特養でも、ユニット型と呼ばれる最新型の個室タイプは居住費が高めに設定されています。その金額までは支払えない人も多いため、ユニット型は比較的入りやすくなっています。

 今年8月から、預金や株式などの資産が1千万円以上(夫婦では2千万円以上)ある人は、非課税世帯でも食費と居住費の全額を負担することになりました。自己申告ですが、通帳のコピーなど資産を証明する資料を示す必要があり、不正がわかれば罰則もあります。それ以外に介護保険の自己負担も必要です。所得が多いと介護保険も2割の自己負担が求められます。有料老人ホームの経費が比較的安い地方では、特養でも有料ホームと変わらない負担を求められることもあります。

 特養に介護度が高い高齢者が増え、一人ひとりのケアに時間がかかるため、職員は時間的な余裕がなくなっています。効率よくサービスをするため、入浴時には車いすの利用者が順番待ちの列をつくる特養もあります。いろいろなサービスがベルトコンベヤーで流されるように進む心配があります。以前は、書道や俳句などの文化的活動もありましたが、それは全く聞かなくなりました。また、私物の持ち込みは段ボール2箱が目安です。特養は、必ずしも満足度が高い介護施設とはいえなくなっているのが現実です。

 (「介護情報館」館長 中村寿美子)

 =全10回

 

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