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 不注意で割ってしまった陶器やガラスの器。大切な人からの贈りものだったり、思い出が詰まっていたりして、そのまま捨てるのはしのびない。そんな時、漆を接着剤として使って修理する「金継(きんつ)ぎ」という手法がある。ものを大切にしたい人たちの間で関心が高まっている。

 9月下旬、東京都世田谷区にあるインテリア雑貨店「ディアンドデパートメント(D&DEPARTMENT)」東京店。2カ月ごとに受け付ける金継ぎの修理の窓口に、次々と人がやってきた。持ち込まれた器の壊れ具合に応じて、修理期間や仕上げ方法を相談できる。

 川崎市の主婦、蓬田清美さん(59)は、注ぎ口にひびが入ってしまった陶器のティーポットを持ってきた。「プレゼントでもらい、大事に使っていた。捨てられなくて」と修理を決めたという。横浜市の会社経営の男性(35)は、真っ二つに割れてしまった備前焼の茶わんを持参。「会社が軌道に乗ったことを祝って自分へのご褒美として4年ほど前に買ったもの。代わりに新しいものを、とはいきません」

 金継ぎは日本に古くから伝わる修理手法だ。金継ぎ師の持永かおりさんによると、壊れた器をつなぎあわせ、継ぎ目に漆を流し込み、まず接着する。その後、1カ月ほど乾燥させる。

 次に「中塗り」を施す。漆が固まると継ぎ目の表面がでこぼこになる。固まった漆をヤスリで研いで漆を上塗りし、滑らかにする。最後に、細い筆で漆を塗り、金粉をまけば完成だ。継ぎ目を金で華麗に仕上げることから「金継ぎ」の名がついた。

 修理の期間は2~3カ月。合成接着剤を使わないので、食器としても安心して使い続けられる。バラバラになってしまった器や割れたガラス製品でも、壊れ具合によっては修理できるという。費用の目安は、5センチ程度のひび割れだと約5500円、バラバラになった器だと2万円ほどという。

 費用も手間もかかるので、かつてはもっぱら高価な器を修復するために使われてきた。骨董(こっとう)品好きの「ぜいたくなたしなみ」とも言われた。

 だが、「最近では高価でなくても、愛着のある器を修理する手法として注目を集めている」と持永さん。ディアンドデパートメントが9月に修理を受け付けた器は70個ほど。受け付けを始めた3年前と比べて、倍以上に増えた。

 金継ぎは、きちんと学べば経験のない人でも習得できる。東京都台東区で一般向けの金継ぎ教室を開く「播与漆行(はりよしっこう)」の箕浦薫代表取締役は「数年前からブームになっている。東日本大震災以降、ものを大事にしたいと考える人が多くなり、教室の受講者も増えている」と話している。(山崎啓介)

 <eco活の鍵>

 ディアンドデパートメント東京店が次に金継ぎを受け付けるのは28日の予定。昼、夕方の2部制で先着各12人まで。電話(03・5752・0120)か店頭で予約が必要。1人3点まで相談できる。自分で金継ぎに挑戦してみたい人には、作業工程の解説書が入った東急ハンズの「金継初心者セット」(税込み8208円)などもある。

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 レッツeco活(エコカツ)

 <訂正して、おわびします>

 ▼2日付エコ面「壊れた器 金継ぎで直す」の記事で、「細い筆で金を塗れば完成だ」とあるのは、「細い筆で漆を塗り、金粉をまけば完成だ」の誤りでした。取材時の確認が不十分でした。

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