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 インドネシアの首都(しゅと)ジャカルタで1月、市民29人が死傷(ししょう)する爆破(ばくは)テロが起きました。犯行(はんこう)を認めたのは、中東シリアを足場とする過激派組織(かげきはそしき)「イスラム国」(IS)。東南アジアには、日本から進出した会社で働く日本人もたくさん住んでいて、ISの勢(いきお)いが増さないか心配されています。

 ■29人死傷、外国人や警察狙う

 テロは1月14日、ジャカルタ中心部の目抜(めぬ)き通り「タムリン通り」沿(ぞ)いで起きた。会社員や買い物客が多い午前中だった。

 ビルの1階にあるカフェ「スターバックス」で1人の男が、その十数秒後に近くの警官詰め所で別の男が、それぞれ持っている爆弾(ばくだん)を爆発させた。さらに別の男2人が、集まった人々や警察官を狙(ねら)って拳銃(けんじゅう)を撃ったり、爆弾を投げ込(こ)んだりした。

 警察との間で30分間も続いた銃撃戦(じゅうげきせん)の末、インドネシア人の実行犯4人は死亡。だが、カナダ人1人を含む市民4人が亡くなり、25人が重軽傷を負った。

 同じ日、インターネットで犯行を認めたのは、遠く離れた中東のシリアに足場があるIS。「ISインドネシア支部」を名乗り、外国人や警察を狙ったとほのめかす内容だった。

 スタバの入るビルには現地の日本人でつくる「ジャカルタ・ジャパン・クラブ」の事務所と図書室があり、テロが起きたとき、日本人向け幼稚園(ようちえん)の園児約30人に読み聞かせをしていた。日本人に被害(ひがい)はなかったが、1万1千人が暮らすジャカルタの日本人社会に驚(おどろ)きが広がった。

 警察は「IS支部」があるかどうかは確かではないとしているが、実行犯の家でISが使う旗(はた)が見つかったほか、年末年始にジャカルタでISによるテロ計画があることもつかんでいた。そのため、事件はISに従う集団の犯行に間違いないとみて、武器の準備を手伝った疑いなどで18人を逮捕(たいほ)した。

 捜査(そうさ)が続くなかで、シリアでISの戦闘員(せんとういん)をしているインドネシア人の男や、ジャワ島の刑務所(けいむしょ)にいる過激派の男が、実行犯らに指示を出した疑いが出てきている。

 ■アジアに広がる過激派

 インドネシアは、人々の暮らしが豊かになり、商売をするチャンスが大きいと外国から注目が集まっている。日本の会社も千数百社が進出している。

 世界最多の2億人のイスラム教徒(きょうと)が暮らす国でもある。大半は穏(おだ)やかな人たちだが、イスラム教の教えを極端(きょくたん)に厳しく守るべきだと主張し、ときには暴力的な行動に出る過激派もいる。

 過激派は2002年と05年、バリ島で計220人以上が犠牲(ぎせい)になる爆破テロを起こした。09年にもジャカルタのホテルで7人が死亡する爆破テロを実行。政府が取り締(し)まったので、その後は目立った事件は起こしていなかった。

 でも、シリアとイラクにまたがる地域でISが「国家」をつくったと14年に勝手に宣言(せんげん)してから、様子が変わってきた。インドネシアの過激派が次々にISに従うと言いだし、勢いづいている。ツイッターやスマートフォンでISの活動が細かくインドネシア語に訳されていることも、一役買っている。

 インドネシア政府によると、国内のISにつながる集団にシリアなどから流れた資金は80万ドル(約9500万円)。戦闘員としてシリアへ渡った者は400人を超え、国内勢力は1100人に上っているという。

 ISは、インドネシア以外のアジアの人々も脅(おびや)かしている。

 イスラム教徒が多いバングラデシュでは昨年10月に日本人男性が殺され、「ISバングラデシュ支部」が犯行を主張。キリスト教徒が9割を占めるフィリピンでも、南部のイスラム過激派組織「アブサヤフ」がISを支持しているとの情報がある。

 専門家らは、中東の国々が国境を越えようとする人々を厳しくチェックしているので、シリアに入れなかった東南アジアの過激派が自分の国でテロを起こす恐れもあると言う。東南アジアと関係が強い日本にとってもひとごとではない。(古谷祐伸)

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