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 将棋の第59回奨励会三段リーグ戦が23日に開幕する。初参加勢で注目は、史上最年少棋士の記録がかかる藤井聡太三段(13)と西山朋佳三段(20)。西山と2期目の参加となる里見香奈三段(24)=女流名人、女流王位、女流王将、倉敷藤花=が昇段すれば、女性初のプロの誕生となる。29人の「棋士の卵」による半年間の戦いは、どのような結末を迎えるか。

 過去、中学生で棋士になったのは、加藤一二三九段(76)、谷川浩司九段(54)、羽生善治名人(45)、渡辺明竜王(31)の4人。最年少記録は加藤の14歳7カ月だ。藤井が今回のリーグを突破すれば、14歳2カ月の四段誕生となり、記録を塗り替える(昇段は10月1日付)。

 昨年10月に三段に昇段してからは、師匠の杉本昌隆七段、斎藤慎太郎六段と指すなどして力を蓄えてきた。3月には、関西の奨励会員61人が参加したトーナメントで3位になり、棋士も参加した詰将棋解答選手権で連覇を果たした。

 藤井は「序盤の勉強に重点を置いてきた。指すからには、1期目から昇段を狙いたい」と意気込む。

 西山と里見は、記録の更新ではなく、新しい歴史を作る可能性を秘める。男女共に在籍できる奨励会を卒業して「棋士」になった女性はまだいない。

 西山は昨年12月、三段になった。女性のみを対象とした制度をクリアしてなれる「女流棋士」の道は選ばず、奨励会一本に絞って腕を磨いてきた。

 豪快な攻めが持ち味の振り飛車党。奨励会員でも参加できる女流王座戦、マイナビ女子オープンなどの女流棋戦では好成績を収めている。

 ただ、リーグ初参加とあって本人は慎重だ。4勝以下の場合につく「降段点」を回避するのが目標という。降段点を2回取ると二段に戻る。「自信は全くない。まずは三段としてやっていける力をつけたい」

 女流棋士でもある里見は2013年に三段に昇段。だが、体調不良で長期休場を余儀なくされた。

 昨年1月に女流棋戦に復帰した後は絶好調。21連勝するなどして女流タイトルを四つに増やした。しかし、初参加だった前期の三段リーグは5勝13敗。もう1敗すると降段点だった。

 開幕前の心境をメールで尋ねたところ、「今は戦っている最中ですので」と前置きした上で、「家族、地元の方々をはじめ応援してくれる方を思い出し、一生懸命頑張っていこうと思います」と返信があった。

 ■上位2人/厳しい年齢制限

 1987年に始まった三段リーグは、棋士になる際の最終関門だ。半年かけて18局戦い、上位2人が四段になる権利を得る。

 原則として、26歳までに四段にならないと退会となる。後に編入試験でプロ入りした瀬川晶司五段、今泉健司四段も年齢制限で、一度は将棋界を去った。その厳しさゆえ、「三段になってからが本当の勝負」と考える人も多い。第1回を除けば、初参加でリーグを突破したのは5人だけだ。

 奨励会幹事を務める山崎隆之八段は「最近の奨励会員は棋士と研究することが多い。レベルが高い一方、差がつきにくい」と分析。その上で「三段までは成績の『いいとこ取り』で上がれるが、三段リーグはそうはいかない。半年間戦うには、強い目的意識とそのための努力が必要」と指摘する。(村瀬信也)

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