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 選挙権年齢を「18歳以上」にする改正公職選挙法が、きのう施行された。

 国政選挙では、来月投開票の参院選から導入される。

 それに向けて、多くの高校が選挙の仕組みを教える授業や模擬投票に取り組んでいる。

 選挙管理委員会も出前授業など啓発活動に力を入れる。政党も、若者向けのイベントに参加するなどPR合戦を展開中だ。

 選挙を前に、投票の方法や各党の政策を伝えることはもちろん大切だ。

 だが、忘れてならないのは、投票は、民主主義を実践する一つの手段でしかないことだ。

 日ごろから、現実の社会で何が問題かをつかみ、どうすれば解決できるかを考えることこそが重要だろう。

 それを養うためには選挙のときだけでなく、ふだんの取り組みが欠かせない。

 学校にいる間から実感して欲しいのは、自分が動けばものごとを変えられることである。

 学級会や児童会、生徒会はその格好の場だ。席替えをどうするか、遠足はどこに行くか。教員が仕切るのではなく、彼らに運営を委ねたい。

 社会の問題と出合う機会を増やすことも必要だ。

 年金や医療、福祉、税金、原発、安全保障……。ちまたには意見が対立するテーマがあふれている。それらについて多様な見方を知り、多角的に考え、話し合う場を広げたい。

 ところが学校は「政治的中立」を気にし、生の政治課題に相変わらず距離を置いている。

 「文部科学省は新聞は複数を使えというが、何紙でないといけないのか」「個人の主張は述べるなといわれても、説明しているとにじんでしまう」。現場からはそんな声が聞こえる。

 問題になると面倒だからと教員が尻込みするようでは困る。

 保護者や地域、教育委員会は「偏向教育」のレッテルを貼らず、試行錯誤を見守りたい。

 萎縮させてはならないのは、生徒たちの政治活動もだ。

 デモに参加するとき、学校が事前の届け出を義務づけては、政治への関心をそぐどころか思想の監視につながりかねない。

 主権者を育てる教育は、学校だけが担うものではない。

 家庭や地域が「政治は汚い」「やっかいだ」と避けるのではなく、社会に向き合い、自らの問題として声を上げることが求められる。その姿を見せなければ若者も黙ってしまうだろう。

 18歳選挙権は、18歳や19歳の問題ではない。すべての世代の問題である。

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