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 参院選1人区の32カ所では、自民党公認候補と、民進、共産など野党4党の統一候補らが激しい選挙戦を繰り広げている。ただ野党候補をめぐっては、共産推薦の有無に関わらず、協力態勢には温度差がある。地域ごとに異なる「共闘」の行方が、野党の勢いにも直結しそうだ。

 ■奈良 政策・演説、協力進む

 共産が、民進公認や無所属の野党統一候補に推薦を出したのは、共産公認が立つ香川を除いて21選挙区。このうち奈良選挙区では、民進と共産の協力が進む。

 公示日の22日、民進現職の前川清成氏(53)は第一声を上げると、候補一本化に伴い比例区に転じた共産新顔の和泉信丈氏(32)の街頭演説に参加。「大変重い決断をしていただいた」と持ち上げた。

 前川氏を支える民進県連と共産県委員会が5月に結んだ政策協定には、安保法廃止や安倍政権の打倒などが盛り込まれた。

 今月25日に市民団体が奈良市で開いた集会では、4月の衆院北海道5区補選に野党統一候補として立った池田真紀氏が「北海道では勝利に結びつかなかったが、タンポポの種のように飛び、各地で根付いた」と強調。共産県委員会の細野歩委員長も参加し「戦争法を廃止する。立憲主義、民主主義を取り戻す。この一致点で合意をして前川さんを推す」と訴えた。

 一方、1人区のうち10選挙区では、共産が野党統一候補に推薦を出していない。その一つの山形選挙区では、無所属前職の舟山康江氏(50)の擁立を主導した民進や社民などが4月、共産と「安倍政権打倒」など3項目の選挙協力確認書を結んだ。

 だが、陣営内には「自民支持層からも支持を得ないと勝てない」(連合山形幹部)との声も根強く、民進と社民だけが推薦し、共産は「全面支援」との形をとる。共産は公示後も、民進などとは別の選対組織をつくり、活動している。

 ただ、与党から「野合」との批判が強まるなか、野党が連携して対抗策を打ち出す動きも出ている。

 舟山氏を支える民進や共産など野党4党は公示翌日の23日、「憲法改悪阻止」や「アベノミクスの転換」など24項目の政策確認書を締結。共産県委員会の本間和也委員長は、民進県連幹部とともに会見し、「政策抜きの野合という自民の攻撃は、論戦に自信がないことの表れだ」と訴えた。(佐藤圭司、前川浩之)

 ■岐阜 連合反発、式典も別

 共産が統一候補に推薦を出したものの、推薦をめぐる思惑の違いが選挙戦に影響しているケースもある。

 岐阜選挙区では、民進現職の小見山幸治氏(53)を推す民進と共産、社民の3党などが5月、共闘の「受け皿」となる市民団体を立ち上げた。しかし、共産の推薦決定に対し、民進を支える連合岐阜が反発。小見山氏は今月13日にようやく、共産の推薦を受けると表明した。

 選挙が始まった22日の式典は、連合も加わる選挙対策本部と、共産が参加する市民団体が別々に開催。その後の運動も両者が一線を画す状態が続く。

 24日夜、岐阜市で開かれた演説会場の入り口には、陣営が「プラカード持ち込み禁止」との注意を掲げた。市民団体に加わる共産支持者らが同党の主張を書いたプラカードを持ち込めば、共産とは距離を置く連合関係者の反発を招きかねないと配慮したためだ。

 連合岐阜幹部は、共産の支援について「一緒に(小見山氏の)選挙をやる県民というだけだ」と話す。

 1人区のなかで、候補一本化が最後に決着した佐賀選挙区。民進は5月に元職の中村哲治氏(44)の擁立を決めたが、県連内には支持層の反発などを理由に共産との共闘に否定的な意見が多く、調整が難航。市民グループ「市民連合さが」の仲介で共産は独自候補を取り下げたが、推薦は出さなかった。

 中村陣営の22日の出陣式には、共産関係者は出席せず、祝電などもなかった。共産県委員会幹部は「遠慮した」と話す。

 24日には民進、共産の衆院議員3人がそろって佐賀市で街頭演説に立った。だが、民進県連幹部は「あくまで市民連合の呼びかけに応じた」と語る。(山岸玲、秦忠弘)

 

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