[PR]

 「脳脊髄(せきずい)液減少症」と診断された東京都葛飾区の東裕也さん(46)は、髄液が漏れている硬膜の穴を血液で塞ぐ「ブラッドパッチ」を受けることにした。

 この治療は「硬膜外自家血注入療法」と呼ばれる。脳や脊髄を覆っている硬膜にできた穴の周辺に、採取した患者自身の血液約30ミリリットルを注射器で背骨の間から注入する。血液が固まることを利用して穴を塞ぎ、髄液の漏れを止めるという。

 頭痛は、髄液の漏れに伴って脳と硬膜の間にできた血腫に、脳が圧迫されるなどして起きていた。再入院した日本医大病院で、まず血腫を取り除く手術を受けた。

 ブラッドパッチをするためには、髄液が漏れている場所を特定する必要があった。腰の骨から硬膜内に細い針を刺し、放射性同位元素(ラジオ・アイソトープ)を注入してガンマ線検査で確かめた。腰のあたりから漏れる患者が多いが、東さんは首からだった。主治医の佐藤俊さんは「画像ではっきりとわかった」と話す。

 しかし、首の周辺は神経が多く、腰と比べて骨と骨の間隔も狭いため、治療中に神経を傷つけるリスクがある。東さんはリスクなどの説明を聞いたうえで、この治療を受けることを決めた。

 手術台に右側を下にして横になった。右の手首から血液約30ミリリットルを採られた。造影剤と混ぜられ、首の骨から少しずつ注入された。局所麻酔をしていたが、入れるときは痛みを感じた。

 佐藤さんは、映し出されるX線画像を見ながら作業にあたった。髄液が漏れているあたりの硬膜の表面に、血液が流れ込んでいくのを確認した。「うまくいっています」。東さんに声をかけた。注入は3分ほどで終わった。

 手術室から病室に戻ると、東さんは左の指先にしびれがあり、首に重たさを感じた。「しびれは1時間、重みは2~3日でなくなる」と佐藤さんに言われた。

 治療が終わって1時間後には、体を動かすように指示された。髄液の漏れが止まっているかどうかを調べるためだった。体を起こしても頭痛は出なかった。

 翌日、退院した。ただ、「また頭痛が起きるのではないか」と不安は消えなかった。

 (石塚広志)

 ■ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

     *

 「患者を生きる」は、有料の医療サイト・アピタル(http://www.asahi.com/apital/)で、まとめて読めます。

 <訂正して、おわびします>

 ▼27日付生活面の「患者を生きる 脳脊髄液減少症<3>」の記事、写真説明で、髄液が漏れている場所を調べる検査について「X線」とあるのは「ガンマ線」の誤りでした。この検査ではX線は使っていませんでした。

こんなニュースも