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 ■MOM’S STAND(マムズ スタンド)8月号

 国際社会で通用する力をつけさせたい――。留学しなくても、グローバル教育が比較的安く体験できる場として、インドの子どもたちが通うインターナショナルスクールが注目されています。8歳の長女を通わせている記者(42)がリポートします。

 「d・e・c・i・m・a・l decimal(小数)」。ドイツ人のエミル・アイトナーくん(8)が、英単語のスペリングをそらんじた。「Congratulations!(おめでとう)」と歓声や拍手が沸いた。

 7月初旬、東京都江戸川区の「タトゥワインターナショナルスクール」のビルの一室で開かれた行事。先生が読み上げる英単語のスペルを答え、勝ち残りを競う。優勝したアイトナーくんは「毎日2時間、お母さんと練習してきた」。「afternoon(午後)」は突破したものの「saucer(カップの受け皿)」で間違えた日本人の西本大晟(たいせい)くん(9)も「初めて1問目をクリアした」と満足げだ。

 ■インドの子と

 英国ケンブリッジ式のカリキュラムを取り入れ、授業はすべて英語。IT教育や算数に特に力を入れ、ビジネスの場でよく使われるパワーポイントは、7~8歳のクラスで習得。割り算も一足早く6~7歳で学習する。ランチタイムはお弁当から食欲をそそるスパイスの香りが漂う。

 江戸川区は、2000年ごろから都心のIT企業に勤めるインド人が急増。学校は、転勤で来日したラマア・バラジさん(40)と日本の友人が10年12月に立ち上げた。最初は5人だったのが、今では2歳半から14歳までの約390人が通う。インド人の子どもが65%で日本人が20%を占める。年間授業料は約60万円。一般的な欧米系のインターナショナルスクールに比べ7~8割安いという。生徒増加に伴い、校舎増設も検討中だ。

 隣の江東区では「インディア・インターナショナルスクール・イン・ジャパン」が04年に開校。生徒約800人のうち5%が日本人という。定員の問題で、今は通学の必要性が特段高い人だけに絞っているが、それでも日本人から入学希望の電話やメールが毎日のようにあるという。

 ■多様性を肌で

 記者の長女が入学したのは4年ほど前。公園やスーパーで出会うインドの子どもたちと友情を深めてほしいと思ったからだ。クラスメートを近所の公園に招いて開いた誕生パーティーで「Line up(並んで)」などとテキパキと会を仕切る娘の姿に驚いた。同級生の男児の母親は「文化や価値観の多様性を肌で感じ、人前で話したりディベートしたりできる英語力を身につけてほしい」と話す。

 期待の一方で、将来の進学や生活には気がかりもある。ひらがなや漢字は自宅で自習。広い校庭はなく、体育のメニューも限られる。自分たちが使うトイレを掃除する習慣もない。

 インターナショナルスクールの多くは学校教育法に基づく学校ではなく、日本国籍の子どもを通わせることは「就学させる義務に違反する恐れがある」(文部科学省)。就学事務を負う自治体の教育委員会が個別に転入などの対応をしているのが実態だ。記者の周りでも、就学前のプレスクールにだけ通って公立や私立の小学校に入学したり、高学年になる春に公立小に転校したり、中学進学の段階で、受験科目に英語がある私立中を目指したりと様々だ。

 グローバル教育の情報サイト「グローリア」の内海裕子編集長(38)は「海外経験が豊富な世代が親となり、インターナショナルスクールへの関心は高まっている。ただ、日本の大学へ進学する場合、受験資格や日本語力がネックとなる。留学や就職など将来ビジョンを描き、学校に何を求めるのか考えることが大事だ」と話す。

 (文・山本晋、写真・瀬戸口翼)

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