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 ■MOM’S STAND(マムズ スタンド)11月号

 両親のどちらかが外国出身のいわゆる「ハーフ」の子どもは、国内では新生児の50人に1人にあたる年間約2万人が誕生している。東京都在住のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンさん(40)もルーツが日本とドイツで、日本人なのに外国人として扱われ、悩んできた一人だ。伝えたい本音とは。

 「来日して、私は何ておめでたい人間だったのかと痛感しました」

 日本で暮らして19年になるサンドラさんは、ドイツ人の父と、日本人の母との間に生まれた。ドイツで育ち、日本語補習校に毎週通った。

 14歳からは、夏休みに一人で日本に帰り、祖父母の家で過ごした。「当時のドラマにも詳しいですよ。『101回目のプロポーズ』とか」

 1997年、母が生まれた国で暮らそうと思い、日本へ。日本国籍を持ち日本語を話し、文化に親しんできた自負もあった。「当然、日本人として生きられると思っていました」。ところが、初対面で戸籍上の「渡部里美」を名乗ると、相手は不思議そうに「ご主人が日本人なんですか?」と聞いてきた。印鑑証明を取ろうと区役所に行けば、職員に「外国人登録証はあちらですよ」と言われた。

 私は日本人ではないのか……。疎外感に悩む日々を過ごす中、同じ立場の人が交流する「ハーフの会」に参加。多くの参加者が似た経験をしていることに気づいた。

 ■外見で決めつけ

 「髪の色が変」「なんで国に帰らないの」。外見などの違いを理由に、日本の学校でいじめを受けた人も多い。

 大人になっても「え!? 英語話せないの?」といった何げない一言に傷つくことがある。日本で育って英語を話せるとは限らない。「『あーそっか』とそのまま受け止めてほしい」と語る。

 サンドラさんが著書であえて「ハーフ」という言葉を使う理由もそこにある。「例えばハーフを『ダブル』と言い換えることもできますが、それは『二つ』や『二倍』という意味。日本だけで生まれ育った人たちにとっては、『ダブル』の言葉は重荷になる。伝わりやすく、より適切な言い換えができないのが現状です」という。

 著書では、外国にルーツを持たない日本人のことを「純粋な日本人」という意味を込めて「純ジャパ」と呼んでいる。あくまでも一部ではあるが、「好奇心旺盛で質問好きの人」はいる。初対面でも「ご両親はどこで出会ったんですか」「国籍はどちらですか」などと、プライバシーに踏み込んだ質問をされ、戸惑うことも。「純ジャパ同士の会話なら、まず初対面でそんなことは聞きませんよね」

 ■事情・悩み、様々

 一方で、それぞれ事情も様々だ。サンドラさんは、一目でわかる自分のことを「顔面暴露系」と呼ぶ。これに対し、アジア系の親を持つ人たちは本人が明かさなければ気づかれにくい。その分、恋人や友人に伝えた時、どんな反応をされるのか不安になりがちで、「より深い悩みを抱えている人も少なくない」という。

 サンドラさん自身は「苦労もあるけど、ハーフでアンハッピーと思ったことはない」と話す。日本でもドイツでも、空港に降り立つと「帰ってきた」と思える。人と接するときに、相手の事情を想像する習慣も身についた。

 これからも日本に根付いて暮らしたいと思っている。「私、街で道を聞かれるとすごくうれしいんです。あ、特別視されてないんだって」

 (文・信原一貴、写真・佐藤正人)

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