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 「北の鉄路」の危機は、人口減少時代に公共交通をどう守るかという全国共通の問題を象徴している。国と自治体、住民が知恵を出し合い、打開策を探っていくしかない。

 経営難のJR北海道が、10路線13区間について、「自力で維持することは困難」と表明した。延長1237キロは道内の全線のほぼ半分にあたり、道民の生活への影響は大きい。

 気象条件が厳しい北海道は線路や鉄道車両の維持費が割高で、JR北は鉄道事業で毎年400億円を超す赤字を出す。

 国が設けている経営安定基金は低金利で運用益が少なく、赤字を埋めきれない。「維持困難」の13区間を仮に切り離せば、収支均衡は見えてくる。

 石勝線でのトンネル火災や、保線現場での検査データ改ざんなど、JR北ではここ数年、安全が揺らぐ事態が相次いだ。

 赤字圧縮のため、安全確保に必要な投資や人員まで削った歴代経営陣の失策の結果だ。

 国主導で14年に発足した現経営陣は、安全投資を優先して経営再建を進めてきた。だが橋やトンネルの老朽化も進み、さらに膨大な資金が必要だ。運行を続けるには、路線網の見直しが欠かせないと判断した。

 特に乗客が少ない3区間は廃止し、ほかの10区間は、おもに地元に経費分担を求める方向で自治体と協議したいという。

 切羽詰まった事情は理解できるが、鉄道は地域住民の公共財でもある。廃止する場合は、バスなどの代替手段で利便性を高めていく必要がある。

 JR北の島田修社長は「自分たちのレールとの意識を持って」と沿線住民に呼びかけ、経費分担に理解を求めた。ならばJRはどれだけ経営努力を尽くすのか。まず十分に説明しなければ、納得は得られまい。

 自治体側も覚悟が求められる。人口減が続く限り、すべての交通網を今まで通り維持するのは難しいと認識すべきだ。

 幹線道路の整備で鉄道離れが加速した面もあり、地域によってはバスや予約制タクシーなど、車を使った公共交通がより便利な場合もあろう。

 市町村ごとに事情は違うだろうから、道が中心になって、北海道全体の未来を考える視点からJRと協議していくのが現実的ではないか。政治家や有識者だけではなく、利用者の意見を最大限聴くべきだ。

 やはり赤字体質のJR四国も先月、路線の存廃を検討していく意向を示した。国は北海道や四国の現状を分析し、より適切な支援策を考えるべきだ。

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