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 自分史作りのメリットは、自らの軌跡をたどれることだけではない。人生を見つめ直すことで勇気づけられ、生きる力がさらに湧いてくる。また、周囲から反響があり、家族や友人との絆が深まる。11月下旬、朝日自分史のサービスが大阪本社でも始まってから1年を迎え、西日本で自分史作成をする人も増えてきた。それぞれ記者取材コース、原稿持込コースで自分史を完成させた2人の思いを聞いた。

 ■資料が語る、50年間の奮闘 反響の多さに手応え 森岡寛さん

 「『みんなが思っていても言えなかったことをよく書いてもらった。一気読みした』といった手紙やはがきをもろたり、『苦労しはったんやね』と電話口で涙ぐまれたり」

 大阪本社における朝日自分史の記者取材コース第1号で「戦う技工士」を作成した大阪市旭区の森岡寛さん(82)は、反響の多さに手ごたえを感じている。

 約8年の東京での修業時代を経て、28歳で歯科技工所(ラボ)を大阪市内に開いた。以来、よい義歯などを作るだけでなく、歯科技工士の待遇・生活保障などの改善を求め、歯科医療の発展に約50年奮闘してきた。

 自身の半生をまとめる決意をしたのは、昨年11月に朝日自分史を知ったときだった。

 日記代わりの大学ノートや便箋(びんせん)に走り書きしたメモ、大阪府歯科技工士会(大歯技会)の要職を歴任して取り組んだ手書きの活動日誌、公文書コピー、イベントや会合などの写真、大歯技会の広報紙、業界誌……最初の打ち合わせのとき、準備した資料が机の上に山積みとなった。

 取材・執筆を担当した記者OB(68)は「黄ばみやシミのある書類には、執念すら感じた。足跡を裏付ける動かぬ証拠が、大いに役立った」と話す。

 自宅での取材は、妻の萬喜子(まきこ)さん(78)がほほ笑みながら傍らで聞いていた。事実関係に思い違いがありそうなときは、軌道修正を助言した。

 ラボが半世紀、ずっと黒字経営だったのは、こんな調子で妻が夫を支えながら経理や社員の面倒を一手に引き受け、共に戦ってきたおかげだろう。「子育ては妻まかせで、家庭を顧みないモーレツ仕事人間でしたから」と2人は苦笑する。

 だが、長男で歯科医の敦さん(48)は自分史を「わが家の宝だ」と絶賛した。ほかの3人の子どもも労をねぎらってくれた。

 現在は相談役として後進を見守る立場だ。ところが、自分史を作成したことで、関連業界などの関心を呼び、12月には技工士の地位向上のため国会陳情にも参加する。不屈の精神がモットーの森岡さんは「戦いすんでもまだ日は暮れない、というのが正直な心境です」と話す。

 (合志太士)

 ■ゆかりの地訪ね、充実300ページ 時井康雄さん

 京都府京田辺市の時井康雄さん(81)は自分史「わが家族の歩み」を手に、300ページの重みと充実感に顔が和む。

 36年にわたり京都府警に勤務、署長を2回務めた。喜寿を迎えたころ、「自分が今あるのは先祖のおかげなのに知らないことが多すぎ」と感じて、記録に残したいと思い立った。

 祖父の出身地・香川県津田村(現さぬき市)の菩提(ぼだい)寺を訪ね、津田町史を読み、祖父、父の残した覚書、日記をめくった。祖父が電信技師だったため、妻多加子さん(79)と東京の逓信総合博物館(現郵政博物館)などへも足を運んだ。

 「文章にまとめるのはしんどかった」が、2年半で20万字以上を書き留めた。朝日自分史の原稿持込コースで本にまとめるにあたっては、記者経験のあるベテラン担当者に長い原稿のまとめ方を習い、約4割をそぎ落とした。

 できたての本を父母の法事の際に弟妹らに配ると、「戦前、戦中も祖父母や父母が子や孫のために頑張っていた姿を初めて知った」と喜んでくれた。

 時井さんは語る。「自分だけの自分史でなく、今の自分を導いてくれた先祖も知ってもらえる本になった。家族の絆が薄れる現代に、記録を残すことの大切さを、知人にも伝えたい」(吉田定雄)

 ■先祖の足跡、子孫に伝えたい 「ファミリーヒストリー記録社」と提携

 自分史を作る際、先祖に触れる人も少なくない。

 「ファミリーヒストリー記録社」(東京都)はスタートから3年で約70件の依頼を受けた。スタッフが、家系や家紋の由来、先祖の足跡などまで調べている。金婚式や喜寿などを迎える親や、結婚する娘への贈り物にする例もある。

 戸籍を見て、母と子が同じ日に亡くなっていれば、出産時か、災害・戦災で亡くなった可能性が高いと分かったりする。

 住んだ場所もたどれる。図にすることで、時間と空間の広がりを感じられる。「先祖が生き抜いたから自分がある。自分一人の命でないことに気づきます」と同社代表の吉田富美子さん(54)は語る。

 スタッフは、国立国会図書館などの文献や土地台帳、軍歴証明書にもあたる。菩提(ぼだい)寺に出向き住職の話を聞くこともある。墓の形や墓名墓誌から武家由来と解読したり、海外移住資料館での記録を閲覧し、移民した先祖の名前を見つけて上陸地を特定したりしたことも。

 スタッフには、墓や古文書などの知識も欠かせないという。調査は3コースあり、結果は3~6カ月で系図や報告書になる。

 依頼者が報告書を「お守り」のように思う姿を吉田さんは見てきた。「家族の歴史に触れることは、これから生きていく力をもらい、子孫に伝えられる宝物をもつ意味もあります」と話す。

 朝日新聞社はこのほど、同社と提携。調査結果を朝日自分史で作成する本に生かすことなどができる。(由衛辰寿)

 ■オールカラー、写真何枚でも入ります 「朝日自分史」無料相談会を開催中

 朝日自分史では、記者がお客様をインタビューして本にまとめる記者取材コースと、お客様の原稿を編集者が二人三脚で仕上げる原稿持込コースがあります。どちらも私家版です。

 特徴は、オールカラーで写真や手紙などを何枚でも入れられること。人生をまるごとパッケージできます。お客様のご家族からも「本を読んで母の思いが初めて分かりました。すてきな時間を共有できました」などの声が届いています。

 写真や絵画などを大きく載せたいといった方向けにA4判の本も作れます。また、社史や周年史のお手伝いもできます。

 首都圏、近畿圏中心のサービスですが、他の地域にお住まいの方でも承っております。定期的に無料相談会を開いています。

 ◇お問い合わせ、お申し込みは朝日自分史事務局まで

 03・6869・8007/06・7878・8500

 土日祝日を除く午前10時~午後5時

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