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 もう政治家は忘れたのか。

 1995年に施行された改正政治資金規正法が付則で、政治家への企業団体献金を5年後に禁止すると定めていたことを。

 自民党の金権体質が批判を浴びたのを機に、税金から年300億円規模の政党交付金を各党に渡す。その代わりに、政治腐敗の温床でもある企業団体献金はなくす――はずだった。

 だが結局、骨抜きにされた。

 政治家個人への献金は禁止したが、政党への献金を温存したのだ。これにより、政治家個人が代表を務める政党支部が、多くの政治家の企業団体献金の受け皿になった。「党のカネは自分のカネ」という構図ができあがり、いまに至る。

 総務省が先月末に公表した2015年の政治資金収支報告書でも、巨額の資金を集める政治家がずらりと並んだ。甘利明元経産相は約1億9千万円、安倍首相と麻生副総理・財務相はともに1億4千万円を超えた。

 共産党を除く多くの与野党議員が、政党交付金と企業団体献金を「二重取り」している。その恩恵をとりわけ多く受けているのが自民党だ。

 自民党本部と党の政治資金団体「国民政治協会」への企業団体献金は22億9千万円あった。90年に100億円を集めていたのに比べれば減ったが、「安倍1強」を反映するかのように、政権復帰後は3年続けて増えている。

 昨年、三菱東京UFJ銀行など3メガバンクが、18年ぶりに献金を復活させた。銀行は金融危機の際、13兆円もの税金を注入された公的存在であることの自覚などないかのようだ。

 安倍政権は、経団連が重視してきた法人税の実効税率の引き下げや原発再稼働をすすめている。その経団連は2年前、実質的に安倍政権のために会員企業への献金の呼びかけを5年ぶりに再開した。

 製薬会社と業界団体が昨年、自民党に約1億4千万円支出したのは、国による薬価引き下げへの危機感の表れだと見られている。

 こうした動きは「政策をカネで買う」行為と批判されても仕方あるまい。政党や政治家が業界に資金や集票を頼ったことで起きた過去の癒着、政治腐敗の教訓はどこへやらだ。

 「政治には金がかかる」という政治家の言い分も、「政治献金は社会貢献だ」という経団連の主張も説得力を欠く。

 このままでは、資金を持つ者と持たざる者の政治への影響力に格差がつく不健全な社会になることを危惧せざるを得ない。

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