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 がんは今や必ずしも死に直結する病気ではありません。国立がん研究センターによると、全がん協加盟のがん専門病院などで診断治療を受けてから10年後の生存率は約58%です。一生のうちに2人に1人ががんになる時代。がんになった後、どう生きるかが課題ですが、それを支える社会の仕組みは不十分です。A―port(エーポート)は「ネクストリボン」コーナーで、がんとの共生社会づくりを応援します。

 ■患者つなぎ、社会復帰を支える

 外資系金融機関の営業マンだった大久保淳一さん(52)は2007年、精巣がんと診断された。

 当時42歳の働き盛り。子供に恵まれ、営業先との付き合いで始めたマラソンで100キロを走破するなど、公私ともに充実していた。

 ところが、骨折のため入院した病院で、がんが見つかった。進行したステージ3。転移もしていた。

 抗がん剤の効果で、腫瘍(しゅよう)マーカーの数値は劇的に下がったが、副作用で間質性肺炎を発病し、肺機能が半分まで落ちた。

 それでも病室の壁に「あせるな!大丈夫」「サロマで自己新!」と自ら貼り紙をして、「ぜったいに負けるものか」と2度の手術など計2年半の治療に耐えた。

 横断歩道を青信号で渡り切れないほど弱っていた体力を回復させ、診断から6年後の13年、サロマ湖100キロマラソンに出場。健康だった時も含め5回の挑戦のうち2番目の好タイムで完走した。15年の大会では、ついに自己最高記録を更新した。

 「生かされた責任として、生かしてくれた社会に恩返しをしたい」。患者や元患者らがインターネット上でつながって情報交換できるサービス「5years(ファイブイヤーズ)」を作り、16年9月、同じ名前のNPOを立ち上げた。

 きっかけは闘病時の経験だった。がんから社会復帰した患者の生の声をネットで探したが見つからず、不安が消えなかった。

 「がんになると、みな孤独です。優しく見守ってくれる家族も、医師もがんではない。自分だけが取り残されてしまう気がして絶望しそうになる」。それを救ってくれるのは、同じような状況にあるがんの「仲間」なのだという。「交流によって、毎日命と向き合っている患者をいやすのが何よりも大事です」

 5yearsは、患者や家族だけではなく、治療を終えた人や医療関係者ら誰でも無料で利用できる。開設から約2年で約1700人が登録している。

 5years内の公開Q&Aコーナーには、副作用、後遺症、復職、親の介護との両立などについて登録者から質問が寄せられ、別の人から体験談など回答が書き込まれる。プロフィルを確認できる登録者に限った交流のため、安心して利用できるという。

 こうして集まった情報は、これまで医師を通じてしか患者のニーズに触れてこなかった製薬会社や医療関係会社などに伝わり、製品やサービスが改善されることも期待できる。

 さらに今回、患者や元患者が相手を指名して、テレビ電話を通じて一対一で話せる仕組みを作る資金を、A―portで集めている。顔を見て話せるため、気持ちがより伝わりやすいインフラ(社会基盤)に、と期待している。

 10年生存率は部位によっては約7~9割に上る。医療や薬の進歩でさらに伸びる可能性もある。

 「がん患者や元患者には必要なものが三つあります。生きる希望、社会に戻るための情報と、孤独をいやすものです。患者を横につなぐ水道管や電話線のようなプラットホームとして整備したい」(井上未雪)

 《特典例》1万円でトートバッグと著書「いのちのスタートライン」(講談社)サイン本など

 ■治療中の悩みにウィッグ付き帽子

 抗がん剤や放射線の治療によって頭髪を失ってしまう人は多い。こんな患者のために、名古屋市の美容師、大脇篤史さん(38)が、髪付きの帽子「WIGHAT(ウィッグハット)」を考案した。病院などで患者に試してもらうサンプルを作る資金をA―portで集めている。

 2年前、友人の妻が脳腫瘍(しゅよう)になった。「外出時に気軽に使えるものを」と相談され、帽子職人と協力して作り始めた。「髪で悩む人がいるなら美容師として何か役立ちたい」という。

 WIGHATは、ファッション用付け毛の人毛を帽子にとり付けたもの。患者に合わせてオーダーメイドする。顔に沿った自然な髪の流れを微妙な並べ方で作りだし、前髪が浮かないように患者の要望を受けながら取り付ける。

 小学3年生の女児は、「かつらは蒸れる」と嫌ったが、帽子は快適だという。また、治療で肌が敏感になると、ポリエステル製の毛髪だとかゆみを生じ、かいてしまうと色素沈着をおこす。WIGHATは上質な人毛のため、その心配がないという。

 大脇さんは質のいい人毛を安定的に買い取るため、受注を増やし、協力店も増やしたいと話している。

 《特典例》3千円で活動報告とヘアケア剤1週間分

 ■漱石アンドロイドを教壇へ

 日本を代表する文豪・夏目漱石がアンドロイドとしてよみがえる。学校法人二松学舎が、石黒浩大阪大教授の監修で制作した。その漱石アンドロイドを教壇に立たせるプログラムの開発資金を募っている。

 アンドロイドの顔は朝日新聞社が所有する漱石のデスマスクをもとに、声は親戚らから声が似ていると言われてきた孫の漫画批評家、夏目房之介さんの協力で再現した。

 ただ、いかに精密に作っても、人々が抱く漱石の印象と異なれば、「似ていない」と評される恐れもある。それでもあえて制作した理由の一つは、人を知る学問である文学ともつながるからだという。

 二松学舎の山口直孝文学部教授(54)は「アンドロイドに向き合うと、逆に人間とは何かと見つめ直す契機になる」と文学研究の新領域になる可能性にも期待する。西畑一哉常任理事(60)は「人に受け入れられやすいアンドロイドとは何かという研究にもつながるはずだ」と話している。

 漱石アンドロイドは8日に発表され、その後、朗読や特別講義を行う予定だ。

 《特典例》3千円で漱石アンドロイドの特別講演チケット

 ■手塚眞さんが「新たな伝説」

 新作映画「星くず兄弟の新たな伝説」が完成し、監督したヴィジュアリスト手塚眞さん(55)が、全国公開のための資金を集めている。

 30年前、日大芸術学部の学生時代に監督した「星くず兄弟の伝説」。それに「新たな」を加えたタイトルだが、前作にとらわれないインディーズ映画だ。

 「トレンドと反対のことをやった」というように、分かりやすさを目指さない荒唐無稽さが魅力だ。根底には「人間の発想は自由であるべき。作りたいものを作った」との思いがある。

 インディーズ映画という言葉がない時代にそう名付け、ビデオ映画「Vシネ」を作り始め、映画を始めさまざまな媒体の映像を作る「ヴィジュアリスト」という肩書も自ら作った。その「開拓魂」で、クラウドファンディングに挑戦している。

 《特典例》1万円で劇場招待券2枚と手塚さんのライブイベントへの参加券

 ■紛争地の病院攻撃、知って

 命を救うはずの病院が攻撃を受け、一瞬にして黒い塊になる――。そんな惨事が世界各地で起きている。

 世界の紛争地などに医師や看護師を派遣し、医療支援をする国際NGO「国境なき医師団」。そのアフガニスタンの病院が昨年10月、米軍の空爆を受け、患者やスタッフ計42人が死亡した。イエメンでも同月、病院がサウジアラビア主導の連合軍の攻撃を受けた。

 紛争地では多くの人が医療を必要としている。顔にやけどを負った子どもが、母親と3日間歩いて病院にたどり着き、診察を待つ長い列に並ぶ。それでも「ありがたい」と感謝する。

 そんな病院への攻撃が常態化している。「国境なき医師団日本」はこの現実を多くの人に知ってもらいたいと、東京で10月に開催した写真展を全国各地で開く資金を集めている。

 会長の加藤寛幸医師(51)は話す。「『病院を撃つな』と声をあげていきたい。日本の人たちにも、自分にも何か出来るのかもしれないと思ってもらえれば」

 《特典例》1万円で特製タオルとトートバッグ

 ■沖縄の「紅型」、身近な品に

 A―portのシステムを使って、独自のクラウドファンディングサイト「Link―U(リンクユー)」を立ち上げた沖縄タイムスが10月、サービスを開始した。

 沖縄の社会課題や地域活動、文化、スポーツなどを取材して報道するだけでなく、一歩踏み込んで、クラウドファンディングを通じて起案者、支援者、読者をつなぐ(リンクさせる)役割を果たしたいという。

 第一弾のプロジェクトの一つは、沖縄在住で伝統的な染色技法「紅型(びんがた)」作家の新垣優香さん(31)によるものだ。紅型のデザインと、沖縄瓦の素材を組み合わせて、高価な紅型を身近なコースターなどの作品にすることで、魅力を多くの人に伝えたいという。

 当初の目標額の40万円は即日達成し、年内の期限までにさらに続々と資金が集まっている。

 新垣さんは「沖縄の風土から生まれた沖縄瓦と紅型をコラボしたプロジェクトが、全国から多くの方に支えられているのはありがたいです」と話している。

 ◇クラウドファンディングとは

 クラウドファンディングは、インターネットでアイデアを提案し、「実現させたい」と思う一般の支援者から広く資金を集める仕組みです。支援者は金額に応じて特典がもらえます。

 A-portでは、クレジットカードに加え、プロジェクトによって銀行振り込みやコンビニ決済もできます。

 詳しくはサイト(https://a-port.asahi.com別ウインドウで開きます)で。

 【支援に関するお問い合わせ】

 メール call@a-port-mail.com

 電話  03・6869・9001(祝日を除く月~金曜の10時~17時)

 【起案に関するお問い合わせ】

 上記サイトから

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