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 政府・与党が来年度の税制改正大綱をまとめた。

 所得税について、今回仕組みの変更を決めた配偶者控除を第1弾として、来年度から各種控除を見直していくとうたった。

 所得税は消費税や法人税とともに基幹税の一つだ。安倍政権は、消費税と法人税については大きな政策変更を実施してきたが、所得税では部分的な手直ししかしていない。

 単身・独身世帯が増え、非正規労働が広がる。暮らし方や働き方が様変わりし、賃金が伸び悩む中で、国民には格差拡大への不安や不満が高まっている。

 豊かな人により多くの負担を求め、所得が少ない人らを支える「再分配」の強化に向けて、所得税のあり方を点検する必要がある。控除の見直しにとどまらず、預貯金や株式で得られる所得への課税が高所得者に有利になっている問題なども含め、抜本改革を目指すべきだ。

 所得税には、誰にも共通する「基礎」、家族を養う人への「扶養」など、いくつもの控除がある。その大半は、それぞれの項目ごとに決められた金額を収入から差し引き、その後に所得税率をかけて納税額を計算する「所得控除」だ。

 この方法だと、適用税率が高い高所得者ほど負担軽減額が大きくなる。再分配強化への一歩として、所得の多寡にかかわらず負担軽減額を同じにする「税額控除」への切り替えなど、仕組みを改めるべきだ。

 ところが、配偶者控除の見直しではそうした観点は素通りした。それどころか、パートで働く配偶者が就業時間を増やしやすくする目先の対応が優先され、仕組みを温存・拡大することになった。

 改革は出だしからつまずいた。政府・与党はいま一度、理念と目標を確認してほしい。

 所得が増えるほど課税を強化する累進税率のあり方のほか、急務なのは預貯金や債券の利子、株式の配当・売却益への課税の見直しだろう。

 所得税の最高税率が45%なのに対し、これらへの税率は一律20%にとどまる。高収入の人ほど預貯金や株式取引も多くなる傾向にあるため、年間の所得の合計が1億円を超えると、年収に対する納税額の比率が下がっていく現象が生じている。是正は待ったなしだ。

 再分配の強化には、所得税の控除自体を縮小・廃止しつつ社会保障や教育の給付を充実させる手も有効だし、相続税など資産への課税強化も不可欠だ。

 全体像をどう描くのか、政府・与党の問題意識が問われる。

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