[PR]

 朝日新聞社のクラウドファンディング・サイト「A-port(エーポート)」がサービスを開始して約2年。これまで、アート、スポーツ、テクノロジー、社会貢献、伝統工芸など多彩なプロジェクト約120件を手がけてきました。発信力、編集力などに富んだ新聞社が運営する強みをいかした成功例がいくつも誕生しました。今後さらに多様なプロジェクトや提携などを募集していきます。

 ■「子どもに居場所を」かなった メディアで紹介、企業から支援も

 福島県白河市にある住宅が、週1回「子ども食堂」に変わる。手作りのごはんを無料で食べさせ、自主学習を支援する場「たべまな」だ。放課後の子どもたちの居場所になっている。

 2月末、小学2年生から高校生までの13人が、座敷中央の長机を囲み、無心にキムチチーズ鍋を食べていた。

 みんな無言で、鍋の具を食べる音しかしない。

 少しすると、一変して声が部屋にあふれる。笑ったり、おしゃべりしたりしながら、おかわりに手がのびる。

 「ねーねー、彼女はどんな人なのー」と、小6の女児が男子高校生をからかう。「どーなんだよ」と周りが笑う。小2の女児は、先輩たちの顔を見上げ、小皿にとった具を次々に口に運ぶ。

 大家族の食卓のようだ。

 「たべまな」は、「食べよう、学ぼう」から名付けられた。非営利の任意団体「KAKECOMI」の代表で精神保健福祉士の鴻巣麻里香さん(37)が、木造2階建ての自宅を改修して運営している。

 鴻巣さんは2015年7月、A―portで「たべまな」の運営資金の一部65万円の支援を募った。約121万円が集まり、15年9月に1回目の「たべまな」を開いた。

 朝日新聞やテレビ、ファッション誌などにも取り上げられ、プロジェクト終了後も支援が続いた。六つの企業・行政機関から支援金をもらい、毎月3千円ずつ送ってくれる個人も現れた。3月には地元市長も視察に訪れたという。

 「たべまな」では、午後6時から夕食。みんなで片付けをした後は、それぞれの時間だ。小学生らは2階の和室でドリルをしたり、漢字の練習をしたり。小学生とチェスをする高校生もいれば、お化粧ごっこをする女の子もいる。

 参考書を開いた高校生がぼそっとこぼした一言に、隣の高校生が反応して教えてあげる。その姿を小学生が見る。

 「たべまな」に通う高校生2人の親、工藤恭子さん(48)は、普段の生活では知り合えないさまざまな人と接した息子の変化に気づいた。発達障害の小学生が息子のひざにちょこんと座ってお菓子を食べていることもあったという。「息子が寛容になり、動じなくなりました」と話す。

 鴻巣さんは「ここは駅の待合室みたいな所なのです」と話す。今や子どもの世界も分断がすすんでいる。年齢の違う子どもたちが交流する機会が減り、経済格差から放課後に塾や稽古ごとに行ける子もいれば、行けない子もいる。

 どんな子どもにも居場所となるのが「たべまな」の目標だ。学校でいじめたり、いじめられたりして学校になじめない子どもでも気軽に立ち寄れる雰囲気を作っている。

 横浜市南部地域療育センター所長で児童精神科医の井上祐紀さんは「病気と診断する前に、子どもが心地よく思える場所があれば解決するケースもある。『たべまな』はそんな子の居場所になっている」と話す。

 「もう1個おにぎり食べていい?」。そうねだる小学生に、鴻巣さんは「いいよー。本当はスタッフの分だけど。おなかすかせて帰らせるわけにはいかないからね」と、きゃしゃな体から太い声を出して、明るく答えた。甘えたいのだと分かるからだ。

 「大家族では肝っ玉母さんじゃないと」。そう鴻巣さんは笑った。

 (井上未雪)

 ■福祉作業所、配達車で働きやすく

 東京・南青山に花店「ビスターレ・ビスターレ」がある。障害者が指導者と一緒にフラワーアレンジメントを作る福祉作業所だ。光枝茉莉子さん(33)=写真=が代表理事の一般社団法人「アプローズ」が運営している。

 光枝さんが2015年7月、活動を広げるため、A-portで配達用の軽乗用車「ビスターレ号」の費用を募ると、目標を超える593万円が集まった。

 福祉作業所では、通所者は疲れやすく、稼働が週数回ということが多い。だが、車で花を届け始めると、変化が起きた。「お客さまに渡す時に『ありがとう』と言われて、仕事への自覚が生まれたようです」と光枝さん。通所が週4、5回まで増えた人もいるという。

 光枝さんらは障害者が働く場の拡大にも努めている。人材派遣会社では、社内で花の作業をするため10人を雇用してもらった。来春には花を直接販売する路面店とカフェを作る計画もある。

 「A-portの支援者が継続してファンになってくれたのが心強い」。「東京パラリンピックで花束を使ってもらえたら」とさらに夢は膨らむ。

 ■高評価の映画、埋もれさせない

 東京・渋谷などで1月に公開された浅野忠信主演の映画「壊れた心」(ケヴィン・デ・ラ・クルス監督)。木ノ内輝さん(29)=写真=は2015年12月、この配給、宣伝の資金として、A-portで目標金額を超える293万円を集め、映画公開を実現させた。

 「壊れた心」は、14年の東京国際映画祭コンペティションで審査委員長から革新性を高く評価されたにもかかわらず、配給会社がつかなかった。この映画を埋もれさせず世に届けようと、映画会社「Tokyo New Cinema」の代表取締役の木ノ内さんは、クラウドファンディングに挑んだ。

 この挑戦により、金銭的な支援に加え、支援者らで作品を支えるファンコミュニティーもできた。上映場所についてアドバイスをくれたり、支援者が友人らを誘って支援を増やしてくれたりしたという。

 「新聞社によるクラウドファンディングなので信用があった。クラウドファンディングを知らない層にも興味を持ってもらえた」

 他に独立系映画3本でクラウドファンディングをした経験もあり、これを生かして世に映画を届ける活動を続けたいと話している。

 ■スマホ顕微鏡「知ってもらえた」

 直径55ミリ、高さ25ミリ、重さ65グラム。小さな機器をスマートフォンに取り付けるだけで、高性能な顕微鏡になる。このスマホ顕微鏡「μHandy(ミュー・ハンディ)」を流通させることを目指したプロジェクトでは、2016年8月までに目標額の倍以上、約75万円が集まった。

 製品は今年3月から、ベネッセサイエンス教室の一部でも使われるようになった。

 「朝顔の花粉はギザギザがついているね」「この花の花粉は丸いよ」

 スマホ顕微鏡で観察した子どもたちが気づく。スマホやタブレットで人と見せ合うことができるのも、従来の顕微鏡とは違う利点だ。科学を身近にしたいという願いから開発された。

 キットに付属の専用シールを対象物に貼り付けて採取し、スマホ画面で拡大して観察する。子どもでも簡単に使えるため、プレゼント用などに好評だという。

 「朝日新聞やハフィントンポストの記事が新製品を知ってもらうのに役立った」と、プロジェクトの起案者だったハタプロ代表取締役の伊澤諒太さんは話している。

 ■アイデア実現へ、万全サポートします 「SMAPプロジェクト」最多支援者で話題に

 クラウドファンディングは、ネット上で事業などのアイデアを提案し、一般の人から広く資金を集める仕組み。朝日新聞社は2015年3月に全国紙で初めて「A―port」を開始しました。

 これまで最も注目されたのは、SMAPファン3人が起案者となり、昨年末、朝日新聞にメッセージ広告掲載を目指した「SMAP大応援プロジェクト」です。約1週間で、日本の購入型クラウドファンディングでは最多支援者数となる1万3103人から、約3992万円が集まりました。支援者の名前などで埋まった8ページ広告は大きな話題となりました。

 現在も、世界初の民間月面探査レースに日本から唯一挑戦しているチーム「HAKUTO(ハクト)」が打ち上げ費用の一部を集める大型のプロジェクトや、北海道のばんえい競馬の引退馬を林業で再利用するプロジェクトなど、多彩な案件が進行中です。

 A―portは新聞社の持つ力を生かし、注目のプロジェクトは朝日新聞全国版や、ハフィントンポストなど関係媒体で紹介し、他メディアへのアプローチも支援しています。サイトに掲載するプロジェクト原稿は記者経験者が手直しし、弁護士によるリスクチェックも行っています。

 一方、支援の仕方がわからない方や、ネットでクレジットやコンビニ決済ができない方には、コールセンター(03・6869・9001、平日10時~17時)で現金書留での支援をご案内するなど、万全な態勢でサポートしています。

 A―portには、提携企業などの専用コーナーもあります。近畿日本ツーリストや、NTTドコモとハタプロが共同運営し、IoT製品を開発する事業「39Meister」が、それぞれのテーマに沿ってプロジェクトを紹介。沖縄タイムスはA―portのシステムを使い、独自に「Link―U(リンクユー)」というクラウドファンディング・サイトを運営しています。

 さらにパラスポーツ(障害者スポーツ)を応援する企画や、がんとの共生社会を目指す企画を集めたコーナーも展開。紙面企画や関連イベントで応援しています。

 詳しくはサイトで。

 (中西知子)

 ■A-portで行った主なプロジェクトと調達金額

捕鯨問題を追ったドキュメンタリー映画制作   2325万円

沖縄の基地をテーマにした大学生監督の映画制作  435万円

トリニダード・トバゴのスチールパン国際大会出場 219万円

移動式プラネタリウムで病気の子らに星空を見せる 222万円

町工場がバネでアクセサリー作りに挑む      152万円

津波被災地で28歳が酪農再開を目指す      118万円

沖縄の伝統的染色「紅型」デザインした食器制作  164万円

無寄港世界一周ヨットレースにアジアから初参戦 1278万円

古代ローマの戦車競走を最新テクノロジーで再現  105万円

こんなニュースも