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 LGBTなどの性的少数者について、弁護士ら法曹関係者が、研修や法律専門誌の特集を通じて理解を深める取り組みが広がっている。性的少数者が抱える困難が背景にある裁判や法律相談もあり、誤解や偏見を持たずに対応できるようにすることがねらいだ。

 約8千人の弁護士が所属する東京弁護士会では2012年から、会員向けに性的少数者に関する研修を重ねている。ロールプレイングなどで理解を促す内容で、いまは年に2回ほど開く。1回の参加者は15年度は30~40人だったが、16年度は70~120人に増えた。担当する上杉崇子弁護士は「同性カップルを公的な『パートナー』と認める自治体も出てきたことなどで、人権の問題だという理解が広まり、弁護士の関心も高まった」と話す。

 同会は昨年、「セクシュアル・マイノリティの法律相談」(ぎょうせい)も出版。賃貸契約や生命保険などで、法律的な問題に直面した場合の対処例などを紹介した。文書の内容が「依頼者の意に沿わないセクシュアリティーの暴露」になっていないかなど、弁護士が注意すべきポイントも載せた。

 刑事事件の弁護活動に関する専門誌「季刊刑事弁護」(現代人文社)も今年の春号で性的少数者を特集。拘置所など刑事施設での不当な処遇の例や、実際の事件での支援例などを掲載した。「いままで担当した被告で当事者はいない」という弁護士も少なくないが、編集を担当した西村吉世江(きよえ)さんは「被告が打ち明けられなかっただけの可能性がある。問題意識を持つことで、よりよい弁護活動につながれば」と願う。

 性的少数者の法律相談を多数手がけ、両誌の特集にも携わった永野靖弁護士は、「依頼者は弁護士の言葉などから性的少数者への偏見がないか判断し、どこまで相談できるか見極めている。すべての弁護士が正しい知識を持つことが求められている」と話す。(塩入彩)

 ■性的少数者をめぐる近年の裁判

 《2015年》

・性同一性障害の経済産業省の職員が、職場での処遇改善を求め国を提訴(東京地裁)

・フィットネスクラブで戸籍上の性別での利用を求められた会社経営者が、クラブの運営元を提訴(京都地裁)

 《16年》

・性同一性障害で性別適合手術を受けた受刑者が、刑務所や拘置所がホルモン剤の投与を認めなかったとして国を提訴(東京地裁)

・同級生に同性愛者であることを暴露された大学院生が転落死した問題で、遺族が大学などに損害賠償を求め提訴(東京地裁)

・望んでいないのに性同一性障害を社内で公表させられたとして、ヤクルト子会社の社員が会社を提訴(名古屋地裁)

 <訂正して、おわびします>

 ▼11日付社会面の「LGBT 司法から支える」の記事で、専門誌「刑事弁護」とあるのは「季刊刑事弁護」が正式名称でした。

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