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 ■前衛芸術家・草間彌生

 《1966年には、世界最大規模の美術の祭典ベネチア・ビエンナーレに半ばゲリラ的に参加している》

 ミラーボール1500個を芝生に敷き詰めるという案を伝えたら、当局はすごく驚いたんです。費用は全部、イタリアの画家ルーチョ・フォンタナさんが出してくれて、スタジオも貸してくれた。

 ヨーロッパでは、オランダや西ドイツで展覧会をやりました。ハーバート・リードさん(英国の批評家)も、ニューヨークの展覧会を見てくれて、私のことを支援してくれた。無名時代の私のことも講演会で発表してくれた。

 《本拠の米国では、作品制作で高い評価を得る一方、60年代半ばごろからは、水玉模様の背景の前で、水玉をつけた裸の男女が踊るようなパフォーマンスもニューヨークの劇場などで展開した。水玉模様が重なって背景と混然一体となるため、「自己消滅」と呼ばれる手法だ》

 みんな私と同い年ぐらいの若者ですよ。結局、世の中の規制や道徳を投げ捨ててのことです。セントラルパークやブルックリン橋でもやりました。ベトナム反戦運動でもあったんです。

 劇場のための反戦の脚本を書いたこともあります。

 今までの自分を自分で消滅させて、そして新しい芸術、新しい世界をつくる。私自身も、自己消滅の作品を何度も繰り返して。自己消滅、集積の作品だったと思います。それが人々の心を深く打って。今でも自己消滅です。

 アメリカではうんと評判になりましたが、日本では、「スキャンダルの女王」なんて言われて。評論家とかに、ずいぶんケチを付けられた。理解されなかった。裸が嫌われたの。

 私の反戦運動に対し、日本はまだ古い人が社会や政治を牛耳っていて、だめだった。うんと古い。今でも古い。

 だから、六本木の展覧会にあんなに人が来てくれて、びっくりしています。あれだけの展覧会はなかなかないでしょ。

 (聞き手 編集委員・大西若人)

 <訂正して、おわびします>

 ▼24日付文化・文芸面の「語る―人生の贈りもの―」の記事で「ハーバード・リードさん」とあるのは、「ハーバート・リードさん」の誤りでした。名前のアルファベット表記の確認が不十分でした。

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