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 富士フイルムホールディングス(HD)は12日、子会社の富士ゼロックスの海外販売会社で発覚した不正会計で、損失が2016年3月期までの6年間で375億円に拡大したと発表した。ニュージーランドに加えてオーストラリアでも不正が判明。富士ゼロックスの山本忠人会長ら役員6人を事実上、解任した。

 ■不正告発、副社長が「隠蔽」

 同HDは4月中旬、ニュージーランドの販売会社で利益の過大計上があったとし、17年3月期決算発表を延期。弁護士らでつくる第三者委員会で調査してこの日、報告書を公表した。

 報告書によると、10年4月~16年12月について、富士ゼロックス本体と国内外の子会社などの会計処理を調べた。ニュージーランドの販売会社で、複写機などのリース契約の際、売上高を本来の計算方法とは異なり、顧客の使用枚数を想定した過大な数字で計上。実際の売上高が届かないケースが多く発生し、過大計上が247億円に上った。

 調査ではオーストラリアの販売会社でも不正処理128億円が見つかった。同HDの助野健児社長は、この2カ国以外での不正について「ないと理解している」とした。

 第三者委は不正会計の原因として、売上高を重視して報酬を支払う仕組みや、二つの販売会社の社長を務めた人物への権限集中を指摘。富士ゼロックスの海外子会社などに対する管理体制に不備があったとした。

 また、富士ゼロックスの吉田晴彦副社長らは15年7月ごろに内部告発のメールなどを受けたが、社長や会長らには知らせず、同HD側からの問い合わせにも「不適切会計の事実はない」と報告。第三者委はこれを「隠蔽(いんぺい)」と指摘した。

 同HDは富士ゼロックスの山本会長や吉田副社長ら5人の役員を退任させ、執行役員1人が役員を退く。監査役らほかの4人を合わせた計10人を、報酬10~30%カット(3カ月)、16年度分賞与を30~50%カットする。同社の会長を富士フイルムHDの古森重隆会長が22日付で兼務し、管理体制を強化。15年に就任した栗原博社長は留任して再発防止などに当たるという。

 延期していた富士フイルムHDの17年3月期決算(米国会計基準)は、保有株式の売却益などによって純損益が1315億円の黒字で、過去最高益となった。今回の不正会計による損失の影響は軽微だったという。(川田俊男、野口陽)

 

 ■富士フイルムHDの第三者委の報告書の主な内容と処分

 【報告書の内容】

・ニュージーランドとオーストラリアにある富士ゼロックスの販売会社で、売上高や利益を大きく見せる不正会計処理があった

・利益の過大計上は2016年3月期までの6年間で375億円

・不正会計の背景には「売り上げ至上主義」的な社風があった

・内部告発に対し、富士ゼロックスの吉田晴彦副社長が隠蔽(いんぺい)を指示した

 【処分】

・富士ゼロックスの山本忠人会長らが退任。続投する栗原博社長は報酬を20%、3カ月間カット。賞与は30%カット

・富士フイルムHDの古森重隆会長、助野健児社長が報酬を10%、3カ月間返上

 <訂正して、おわびします>

 ▼13日付経済面の富士フイルムホールディングスの損失の記事で、計上した売上高について「実際の売上高に届かないケースが多く発生し」としましたが、これは売上高の過大計上によって「実際の売上高が届かないケースが多く発生し」の誤りでした。事実関係の確認が不十分でした。

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