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 憲法に従う。その当たり前のことを、安倍内閣が実行できるかどうかが問われている。

 民進、共産など野党がきのう、憲法53条に基づき臨時国会の召集を要求した。

 53条は、衆参いずれかで総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は召集を決定しなければならない、と定めている。立法府における少数者の発言権を保障するための規定だ。

 野党の要求には理がある。

 先の通常国会は、旗色の悪い議論を、政権が力ずくで打ち切って幕を閉じた。

 「共謀罪」法は数の力で委員会審議を打ち切り、強行成立させた。首相や妻昭恵氏の関与の有無が焦点の森友学園、加計学園の問題でも、首相はまともに答えようとはしなかった。

 報道各社の世論調査で内閣支持率が急落すると、首相は記者会見で「反省」を口にし、「何か指摘があれば、政府としてはその都度真摯(しんし)に説明責任を果たして参ります」と語った。

 だが首相の「反省」にはすでに大きな疑問符がついている。

 会見直後、加計学園問題で、側近の萩生田光一・官房副長官の関与をうかがわせる新たな文書が発覚したのに、首相は国民に約束したはずの「説明」をしようとしない。

 菅官房長官はきのう「野党の要求があれば与党とも相談したい」と語るにとどめた。首相の「反省」が本物だというのなら、ただちに国会を開き、首相自ら数々の疑念に誠実に答えるよう説いてはどうか。

 安倍内閣には以前にも、53条に基づく臨時国会要求に応じなかったことがある。

 安全保障関連法を強行成立させた2015年。民主など野党による要求を首相の外遊などを理由に拒み、衆参の予算委員会を1日ずつ開くことなどでお茶を濁した。国会軽視、憲法無視のあしき前例である。

 次の国会は秋ごろまでなるべく遅らせ、世論の批判が収まるのを待てばいい――。

 政府与党内からは今回も、そんな声があがっている。

 だがそうなれば、憲法の趣旨に明らかに反する。53条の解釈については、内閣法制局長官が03年に「召集時期の決定は内閣に委ねられているが、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならない」と国会で答弁している。

 言うまでもなく、安倍首相は憲法を尊重し、擁護する義務を負っている。憲法に従えないような首相なら、憲法改正を語る資格はない。