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 2022年度までの国のがん施策を示す「第3期がん対策推進基本計画」をつくる作業が、大詰めで難航している。

 焦点は、がん予防策の大きな柱であるたばこ、中でも他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の取り扱いである。

 厚生労働省が6月に公表した原案では、受動喫煙率の数値目標が「保留」とされた。社説でくり返し主張してきたように、国民の生命・健康を考えれば、「受動喫煙をゼロにする」という考えを、計画の中で明確に位置づけるべきだ。

 現行の第2期計画(12~17年度)は、20年までに「受動喫煙の無い職場」を実現し、そのうえで22年度までに、過去1カ月間に受動喫煙を家庭で経験した人の割合を3%、飲食店で15%にするという目標を掲げた。

 しかし状況は厳しい。

 15年の国民健康・栄養調査によると、飲食店での受動喫煙率は41%にのぼり、11年の45%からほとんど変わっていない。職場の状況も同様で、数値はやや低いものの、11年の36%が31%になったにとどまる。

 厚労省の専門家協議会は危機感を抱き、第3期では職場、家庭、飲食店での受動喫煙すべてを、20年までにゼロにすることを目標とするよう求めた。

 だが、計画づくりと並行して厚労省がとり組んでいた、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案の国会提出が、自民党側の反対で先送りに。その影響で第3期基本計画での目標も宙に浮いた状態になっている。

 「達成できる見通しのない目標は掲げるべきではない」との意見があるかも知れない。しかし現状が問題だからこそ、あるべき姿を示し、政策を総動員して実現させる。そのための基本計画ではないか。

 飲食店や職場での全面禁煙はいまや世界標準だ。小池百合子東京都知事は、9月議会に受動喫煙対策の条例案を提出したい考えを明らかにしたが、東京だけやればよいという話ではない。国全体で取り組まなければならないテーマだ。

 がん対策としては、喫煙者そのものを減らす政策も必要だ。

 計画原案には禁煙を希望する人たちへの支援が盛り込まれた。15年の成人の喫煙率は18%で、いまの目標の「22年度に12%」になお遠いが、国民健康・栄養調査では喫煙者の半数以上が「やめたい」「本数を減らしたい」と答えている。

 公的医療保険を使った禁煙治療も現に行われている。禁煙に挑戦する人を支える仕組みの整備も忘れないようにしたい。