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 暮らしに欠かせない水道の先行きが危ぶまれている。どうやって持続させるか。各地で議論を深める必要がある。

 水道は原則として市町村単位で営まれ、給水人口が5千人を超す上水道事業者は全国に1400弱ある。水道法が制定された57年に41%だった普及率はいま、ほぼ100%だ。水質は良く、料金もおおむね安い。

 ただ、高度成長期に集中整備した水道管が更新期を迎えているのに、工事が追いついていない。事業者の資金不足が要因だ。漏水事故が増える恐れが懸念されている。

 水道は、利用者が納める料金で費用をまかなう独立採算制だが、節水の定着で利用量は減っており、人口減が追い打ちをかける見通しだ。今でも半数の事業者で費用が収入を上回る「原価割れ」の状態で、小規模の事業者では今後、経営状況が急速に悪化する恐れがある。

 資金不足は防災対策にも影響している。全国の主要な水道管の耐震化率は4割に届かず、東日本大震災や熊本地震の被災地では長期間の断水が起きた。

 人手不足も深刻だ。全国の水道職員はここ30年で3割減った。わずか数人の職員でやりくりする事業者も珍しくない。技術継承も難しくなっている。

 こうした現状を踏まえ、厚生労働省の専門委員会は昨年11月、複数の市町村を統合する広域化や、民間企業との連携で、水道事業の基盤を強化すべきだと提言した。これを受け、政府は今年3月、水道法の改正案を閣議決定した。

 専門委メンバーの浦上拓也近畿大教授は「30~50年先にも水道を維持できるあり方を考えることが大事だ」と説く。

 水道が直面している課題は地域ごとに異なる。まず現状を正確に分析し、50年後も安定供給を続けるためにはどんなあり方がいいか考える。そういう順を踏んだ議論が欠かせない。

 政府は、都道府県が議論をリードするよう促している。

 香川県は08年から県内16市町の水道統合に向けた検討を始めた。料金の差から難色を示した自治体もあったが、最終的に来年4月の統合が決まった。浄水場をほぼ半分にするなど業務の効率化を進め、料金値上げをできるだけ抑えたいという。

 住民の関心を高める努力も大切だ。水道料金は安いにこしたことはないが、長期的視点に立てば多くの地域で値上げが避けられない。自治体は水道の将来像や施設更新に必要な費用をわかりやすく示し、住民に危機感を共有してもらうべきだ。

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