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 3年後の今ごろ、幕をおろしたばかりの東京五輪を、人々はどんな思いでふり返っているだろうか。

 トラブル続きでずいぶん心配したが、何とか結果を残すことができた。さあ次はパラリンピックだ――。笑顔でそう言えるようにするには、山積する課題の解決を急がねばならない。

 先の内閣改造で鈴木俊一氏が新しい五輪担当相になった。この数年、くり返された混乱の過程で国民が目にしたのは、東京都、五輪組織委員会、国のガバナンス能力の欠如であり、関係自治体もふくめた意思疎通の悪さだ。大臣交代を機に態勢を立て直し、これからの準備作業にとり組んでもらいたい。

 まずは、1兆3850億円という、招致段階から2倍にふくらんだ経費の分担問題だ。

 5月に大枠はまとまったが、都外の会場運営費350億円の扱いは宙に浮いたままだ。小池都知事は五輪用宝くじを追加発売し、その売り上げを充てる案を示した。だが宝くじ人気が下降気味のなか、他の自治体からは、子育て支援や道路補修の財源となる分配金が減るのではと懸念の声があがる。再びの角突き合わせは勘弁してほしい。

 選手や観客の輸送も深刻な課題だ。築地市場の移転の遅れに伴い、五輪時の移動の大動脈とされた道路建設の詳細はまだ決まっていない。輸送が混乱すれば、大会運営だけでなく、地域の経済活動や住民の日常生活にも重大な支障がおよぶ。

 そして暑さへの対処だ。選手はもちろん、観客や約9万人を見込むボランティアにとって東京の猛暑は脅威だ。専門家を交えて工夫をこらし、五輪前に開かれる国際大会などを通じて、より効果的な対策を練ってほしい。午前7時半に予定されているマラソンの開始時刻も、再考してはどうか。

 ボランティアを確保しやすいなどの利点があるというが、真夏の五輪開催は、欧米のプロスポーツの日程や巨額の放映権料を払うテレビ局の都合を優先したものと言わざるを得ない。

 五輪の将来を考えたとき、このままでいいのか。選手や観客の視点に立った見直しを考えるべきではないか。

 最近気になるのが、準備の遅れを取り戻すための無理が各方面におよぼす影響だ。建築資材の高騰や人手不足、そして新国立競技場の建設現場では過労死が疑われる事例が起きた。

 優先すべき価値をとり違えてはいけない。人の命や健康を犠牲にして行われる五輪など、矛盾以外の何ものでもない。

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