[PR]

 内科や外科、小児科などの「専門医」を育てる新たな研修制度が来年4月に始まる。

 国家試験に合格したあと、2年間の初期研修を終えた医師が対象だ。3年程度、研修先として複数の病院を回りながら知識や技術を現場で学び、試験に合格すると認定される。

 「専門医」という肩書・名称はすでにあるが、様々な学会が独自に認定しており、100種類を超えて乱立状態にある。名称も「専門医」「認定医」などが混在し、患者にはわかりにくい。新制度では全体を19の基本診療科に分け、統一した基準で認定するのが目標だ。

 患者本位の制度にするには、医療の質を高める機会とするだけでなく、患者が病院や医師を選ぶときの客観的な目安にできる仕組みが必要だ。専門性を重視するあまり、医師が自分の分野以外の患者は診察しない、ということになっても困る。専門医を認定する第三者機関「日本専門医機構」は、研修プログラムづくりを学会任せにせず、かじ取り役を担ってほしい。

 避けなければならないのは、新制度に伴う研修や指導のため、医師が大学病院や都市部の大病院に集中する事態だ。

 医師の数は04年の約27万人から14年には約31万人に増えた。ただ、研修先を選べるいまの初期研修が04年に始まってから、地方の大学を卒業した医師が大都市圏に流れ、偏在の一因になったと指摘される。

 専門医制度をめぐっても、地方の病院や自治体からは地元の医師不足の悪化を心配する声が強く、今年度の開始予定が1年間先送りされた経緯がある。

 機構は、(1)大都市圏の定員に一部上限を設ける(2)研修施設を地域の中核病院にも広げる(3)都道府県ごとに置く協議会を通じて地元から意見を聞いて研修プログラムを改善する、といった措置をとった。

 とはいえ、不安は解消されていない。自治体や厚生労働省と、研修で中心的な役割を果たす大学病院は、新制度がもたらす影響を注視してほしい。

 「総合診療専門医」の新設も、新制度の特徴だ。

 地域の病院や診療所で患者に対応するだけでなく、在宅医療や介護、みとりまで担うことが期待されている。人生の最後を住み慣れた地域や自宅で暮らすことを目指す「地域包括ケアシステム」に欠かせない存在だ。

 総合性と専門性をどう両立させるか。まずは、果たすべき役割をもっと明確にしたうえで、実践的な研修プログラムづくりに努めることが求められる。

こんなニュースも