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 軍事の言葉が躍るばかりで、外交の姿が見えない。

 北朝鮮情勢が緊迫するなか、日米の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開かれた。

 弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対し、日米の結束を示すことが抑止効果を持ちうることは理解できる。

 懸念されるのは、発信されたメッセージの力点が軍事、とりわけ自衛隊の役割拡大に傾斜していたことだ。

 日本側は米側に次々と手形を切った。防衛大綱を改定する。米国製の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を導入する。安全保障関連法のもとで「さらなる協力の形態を追求する」ことや、情報収集、偵察、訓練などの新たな行動を探求することもうたった。

 代わりに日本側が得たものは「米国の核の傘」であり、「日米安保条約5条の尖閣諸島への適用」の再確認である。

 日本側の約束はいずれも自衛隊の能力強化と防衛費の拡大につながる動きだ。米国製の高額兵器の購入は、トランプ政権の求めに沿うものだろう。

 だが5兆円を超す防衛費のさらなる増額をどう考えるのか。ミサイル防衛の費用対効果は。国会での議論もないままに、対米公約だからと既成事実化を図っていい問題ではない。

 会合前にも、安倍政権の軍事傾斜の姿勢を印象づける小野寺防衛相の発言があった。

 10日の閉会中審査で、グアムが北朝鮮のミサイル攻撃を受けた場合、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」にあたりうるとの考えを示したのだ。

 念頭にあるのはミサイル迎撃だ。小野寺氏は「米側の打撃力の欠如」が集団的自衛権発動の要件を満たしうるとしたが、安保法の制定過程ではこうした想定は議論されていない。

 政府による安保法の恣意(しい)的な拡大解釈の可能性を改めて示したと言える。このケースの迎撃は能力的にも困難で、実態とかけ離れた議論でもある。

 マティス米国防長官は今月、「戦争の悲劇は破滅的になる」と述べ、北朝鮮との軍事衝突が招く危険性を指摘した。

 その悲劇が起きるのは韓国であり、日本である。最終的には平和的解決をめざす以外の選択肢はない。

 いま日本が注力すべきは、日米、日米韓で連携し、中国やロシアを巻き込む外交だ。エスカレートする米朝間の緊張をやわらげ、北朝鮮の核実験とミサイル発射の「凍結」に向けて対話局面への転換をはかる努力が求められている。

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