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 自動車が「100年に一度」とも言われる大変革の時代を迎えようとしている。

 ガソリンなどを燃料とし、20世紀に入って普及したエンジン車への規制を強める動きが世界で広がり、電気自動車(EV)が次世代エコカーの本命候補になりつつある。自動運転の技術も急速に進化し、遠くない将来、操作がほとんどいらないクルマが登場するかもしれない。

 自動車は暮らしを支え、その産業は日本経済の屋台骨だけに、社会に大きな変化が生じそうだ。企業など民間が競争を通じて創意工夫を重ね、行政はインフラやルールの整備で後押しするという基本を忘れずに、向き合っていきたい。

 世界的な「EVシフト」の背景にあるのは、地球温暖化対策への意識の高まりだ。米国の一部の州や中国がEVなどのエコカーを普及させる政策を進めていたが、英仏が新たに2040年までにエンジン車の販売を禁止する方針を打ち出した。

 電池の性能向上やコスト低下といった技術革新が後押しする。EVではベンチャー企業の米テスラが台頭し、世界の主要メーカーも本格投入を急ぐ構えで、エンジンからモーターへの移行が加速しようとしている。

 一方、自動運転では業種を超えた開発競争が激しい。カギを握る人工知能(AI)や情報通信の技術を武器に、米国のグーグルやアップルなどが参入し、自動車産業に挑む構図だ。

 二つの波は、とりわけ日本の自動車業界に強く自己改革を迫っている。燃費の良さや価格の手ごろさ、総合的な技術力で国際競争を生き抜いてきたが、今後はこうした強みを発揮しにくくなるからだ。

 EV分野などでマツダと提携したトヨタ自動車の豊田章男社長は「海図のない、前例のない戦いが始まっている」と語った。国内AIベンチャーへの多額の出資も発表し、自前主義へのこだわりを捨てて異業種との連携を急ぐ。ホンダがグーグル系企業と完全自動運転の共同研究で合意するなど、国境をまたぐ動きも広がる。

 一方、個別企業では対応しきれない課題もある。EVや充電設備の普及は当面、補助金など政策支援がカギになる。完全自動運転の実用化には安全に関するルールづくりが不可欠だ。自動車をめぐる環境規制の見直しもいずれ課題になるだろう。

 どんな製品が主流になるかを最後に決めるのは消費者だ。その利益を守りつつ、社会が望ましい方向に向かうよう環境を整えることが行政の役割である。

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