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 この崖っぷちを乗り切れるかどうか。野党第1党としての存在意義が問われる民進党の代表選は、前原誠司氏と枝野幸男氏の一騎打ちになった。

 党代表は毎年のように交代している。約5年前の旧民主党政権の挫折後、代表選は早くも4度目。あきれる人も多かろう。

 本紙の8月の世論調査で民進党の支持率が6%に過ぎないことが、そんな実情を映す。

 民主主義が健全であるためには、頼れる野党が必要だ。政権交代に現実味がなければ、政権党は緊張感を失い、おごりや腐敗につながる。「安倍1強」のもとで噴き出した森友学園や加計学園の問題、陸上自衛隊の日報隠しはその典型だ。

 7月の東京都議選で民進党は大敗したが、直後の本紙の世論調査では、82%もの人が「自民党に対抗できる政党は必要だ」と答えた。有権者の大多数に、民進党は安倍政権に代わりうる受け皿とは見られていない現状を端的に物語る。

 事態は今回の代表選だけで打開できるほど甘くはない。せめて再生への手がかりをつかむためには、どうすべきか。

 民進党は何のために、何をする政党なのか。どんな社会の未来図を描くのか。愚直でも、徹底した論戦を通じて国民に示すことだ。

 きのうの記者会見で前原氏は「消費税を上げる代わりに教育・子育て・医療・年金・介護の恒久財源をしっかり担保していく」、枝野氏は「原発ゼロへのリアリティーある工程表をしっかりと示す」などと述べた。

 両氏はともに旧民主党政権の中枢を担った。その失敗の教訓や反省も踏まえ、原発エネルギー政策、人口減少社会での給付と負担のあり方など日本の喫緊の課題について、自民党と民進党はどう違うのか、具体的な青写真を示し合ってほしい。

 自民党と同じように、民進党が既得権益をもつ支持団体に縛られるようでは国民の選択肢にはなりえない。「安倍1強」が続いた自民党が失った党内議論の幅を国民に大いに見てもらう。そんな論戦を聞きたい。

 小池百合子・東京都知事を支持する議員らの新党結成が取りざたされるなか、民進党内には政界再編に期待する声もある。

 世論に耳を澄ますことは大切だが、風に頼るだけでは地に足のついた政治は望めない。新党ブームにあやかるのではなく、地方議員や党員らが参加する代表選を機に、「国民とともに進む」原点に立ち返ることだ。

 それができるかどうかに、この党の存亡がかかっている。

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