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 この大国を率いる資質があるのだろうか。トランプ大統領が就任して7カ月、米国の政界と多くの国民が悩んでいる。

 「この国を偉大にしてきたものが何だったか、それは今日でも何なのか、彼は理解しているように見えない」

 与党共和党の上院外交委員長コーカー氏はそう語り、大統領としての能力に疑問を呈した。

 「米国を再び偉大にする」という政権の看板と裏腹に、政治の混迷は深まるばかりだ。

 与党からも苦言が出たのは、トランプ氏がとりわけ重大な過ちを犯したからだ。米国の難題である人種差別をめぐり、社会の分断を再燃させたのだ。

 発端は、バージニア州であった白人至上主義団体の集会だ。反対した市民との衝突で死傷者が出た事態について、トランプ氏は「双方」に非があるとし、差別団体と抗議の市民を同列視するような認識を示した。

 移民国家米国が誇るべき価値とは、民族や文化の多様性であり、それを認めあう寛容さだろう。特定の民族が優越するとの考え方は、米国にも国際社会にも、認める余地は全くない。

 米国の経済が大きく発展したのも、自由と平等という建前で世界の頭脳と活力を吸い寄せてきたからだ。人種差別に対する公の拒否は、公民権闘争など苦難の歴史を経て築いた米社会の共通ルールのはずだ。

 それを大統領自らが揺るがすのは愚行というほかない。今からでも、差別思想への拒絶と、平等の原則の厳守を明確な公式見解として言明すべきだ。

 財界と軍は敏感だった。主要企業の首脳らでつくる政策助言機関は抗議の辞任が相次ぎ、解散した。陸海空軍の制服組トップは「人種差別、過激主義、憎悪を許容しない」と表明した。

 米政権への不安な視線は、国際社会も共有している。米国第一主義を推進した首席戦略官バノン氏が突然更迭されたが、それを機にトランプ外交は変わるのか。北朝鮮問題などを抱える日本も注視せざるをえない。

 トランプ氏は今週、アフガニスタンを支える目的などで米軍の駐留継続を明言した。撤退の主張からの転換だが、「大統領としての判断は当初の直感とは違うものだ」と釈明した。

 ならばこの際、もっと国内外の現実を直視してもらいたい。温暖化対策、移民政策、通商政策などでの一方的な変更や主張が招いている混乱は、米国と世界の信頼関係を損ねている。

 トランプ氏が今すべきは、米社会の亀裂の修復と、現実的な政策を真剣に練ることだ。

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