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 2030年に向け、国連が全会一致で採択した目標がある。「持続可能な開発目標」(SDGs)と呼ばれ、貧困や福祉、教育、雇用、気候変動など17の分野で課題の解決をめざす。

 採択からまもなく2年。日本の企業も対応を急ぎ始めた。

 市民団体への寄付など、かねて社会貢献をしてきた企業は少なくない。自社の活動が17のどの分野にあてはまるかを判断し、SDGsへの取り組みとして説明する例がめだつ。

 しかし欧州などでは、自社の業務が社会に及ぼす負の影響を減らし、さらには本業の強みを生かして課題解決に役立つことが、企業の社会的責任だとする考えが広がっている。

 そんな姿勢が新たな市場の開拓や消費者からの支持につながるという経営戦略でもある。

 企業が「経済」と「社会」の両立をめざす動きは、ますます強まるだろう。SDGsを、業務の見直しと企業の将来像を描く格好の手がかりにしたい。

 SDGsで企業の取り組みが先行するのは、「パリ協定」が発効した気候変動分野だ。

 会社が使う電気などを再生エネルギーでまかなう。温室効果ガスについて業務で出した分を帳消しにする対策も合わせてとる。そんな宣言が相次ぐ。

 人権も重要なテーマだ。児童労働の根絶など働く人の権利を守ることは、下請け工場や原料、商品の取引先を含む課題になりつつある。

 そうした傾向を後押しするのが、企業に資金を提供する機関投資家の意識の変化だ。環境、社会、企業統治の英単語の頭文字を取った「ESG投資」が急速に拡大している。

 国連が2000年代半ばにまとめた原則で示した考えで、投資先の分析と決定でこの三つの要素を重視するよう求めた。

 日本でも、世界最大級の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が原則に署名し、資金の一部を具体的にESG投資に振り向け始めた。企業が投資を受けられるかどうか、3分野への取り組みで左右される時代を迎えている。

 本業を生かした貢献では、日本企業にも国際的に注目される例がある。アフリカなどを舞台にした、マラリア防止の効果が長続きする蚊帳の供給(住友化学)や、栄養を補う食品の開発(味の素)だ。生産や販売を通じて雇用を生み、教育関連の事業や啓発活動にも力を注ぐ。

 社会とともに発展するという意識は、日本の企業文化にも深く根ざしている。SDGsで再確認し、磨き直してほしい。

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