[PR]

 小中学生を対象とする全国学力調査の結果が発表された。

 一斉テストは学校や自治体間の競争を過熱させ、序列化を招くおそれがある。朝日新聞の社説はかねてそう指摘してきた。現に、市町村別や学校別の成績を公表する自治体があり、懸念はぬぐえぬままだ。

 一方で、調査は今年度で10回を数え、その積み重ねによって得られた知見もある。

 たとえば、家庭の経済力と子どもの学力との相関関係が、詳細なデータで裏づけられた。今回の調査でも、所得が低い家庭の割合が少ない学校のほうが、得点が高い傾向が出ている。

 学力の格差を解消して、貧困の連鎖を断たねばならない。そんな認識が社会で共有されつつある。そのための施策に、調査を最大限いかしたい。

 厳しい家庭環境にある子どもたちの学力の底上げには、少人数指導や放課後の補習が効く。学力調査の結果を用いたお茶の水女子大の研究チームは、3年前にそう指摘している。

 これを実践しない手はない。

 サポートが必要な学校に熟練教師を手厚く配置する。校外での学習支援を充実させるため、行政と民間団体とが手を携えて「無料塾」を運営する――。

 すでに着手している自治体も多いが、各教育委員会は効果を検証しながら、その地域にあった工夫を重ねてほしい。

 勉強をみてもらえることもさることながら、気にかけてくれる大人が身近にいると実感することで、子どもたちは安心し、将来を前向きに考えられるようになるだろう。

 学力調査をきっかけに、「子どもにより良い授業を提供しよう」という意識が、現場の教師や校長らに広がるのは悪いことではない。半面、成績や点数にこだわる風潮が依然としてあり、貴重な授業時間をテスト対策に費やすなど本末転倒の光景が見られるのは考えものだ。

 この調査は、児童生徒の学力低下が社会問題になったのを受けて始まった。点数を気にするのもわからなくはないが、別途行われる国際学力調査でも、いまの子どもたちはおおむね好成績を保っている。もうそろそろ「学力低下不安」から解放されていいのではないか。

 学級の規模は学力にどう影響するか。教え方によって子どもたちはどう変わるか。検証すべきテーマはいろいろある。

 政府も学校現場も、調査をより良い施策を行うための土台と改めて位置づけ、その観点から、規模や方法についても議論を深めてもらいたい。

こんなニュースも