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 都心から電車で1時間ちょっとの近郊に、生き物たちの楽園がある。栃木、群馬、埼玉、茨城の4県にまたがる33平方キロの広大な渡良瀬遊水地は、260種の野鳥をはじめ様々な動植物が暮らす。絶滅危惧種も数多い。

 自転車で走れば爽快だ。周辺4カ所で、レンタル自転車を利用できる。その一つ、東武日光線の板倉東洋大前駅から徒歩3分の「わたらせ自然館」で、よく整備された3段変速の自転車を借りた。4時間で400円。おすすめコースの地図もある。

 遊水地の中心にある谷中湖は、東京ドーム21杯分の水量のハート形をした貯水池で、首都圏の水がめだ。外周9・2キロをのんびり1時間半かけて走ると、ジョギングする親子やヨット遊びのグループに出会えた。

 遊水地とは、大雨などで川の水位が増したとき、一時的に水を流し込む土地のこと。本州最大の低層湿原でもある渡良瀬遊水地は、2012年に湿地保全の国際条約「ラムサール条約」の登録地になるなど、世界的に重要性が認められている。

 かつて、ここは谷中村という豊かな農村だった。だが、明治政府が洪水防止を名目に移住させ、廃村とした。水問題研究者の嶋津暉之(てるゆき)さんは「背後には、上流の足尾銅山からの鉱毒水を沈殿させて反対運動を抑える狙いがあった」と話す。「だが自然は偉大だ。100年の時がこの土地を自然の宝庫に変えた」

 遊水地では自然観察会も盛んに行われている。日本野鳥の会栃木の「ツバメのねぐら入り観察会」に参加した。晩夏から初秋にはツバメが大集結し、夕暮れ時には、遊水地のヨシ原へと帰る大群が見られるという。「多いときには5万羽が夕空を舞って壮観です」と、リーダーの内田孝男さん。前日までの動きから最適ポイントを予測して待つと、次々とツバメたちが舞い戻り、参加者が歓声を上げていた。(伊藤隆太郎)

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 レンタル自転車は群馬県板倉町のわたらせ自然館(0276・82・1935)や栃木県栃木市の藤岡遊水池会館湿地資料館(0282・62・5558)などで。

 <訂正して、おわびします>

 ▼8月29日付エコ面「自然旅 渡良瀬遊水地 生物の楽園」につく地図で、「渡良瀬川」として指し示したのは支流の「思川」でした。点検が不十分でした。

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