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 北朝鮮がまた危険極まりない挑発に出た。今回は日本の上空を横切るミサイル発射である。断じて容認できない暴挙だ。

 弾道ミサイルはきのう早朝に発射され、北海道・襟裳岬の東方約1180キロの太平洋に落ちたとされる。事前に海上の航行禁止区域も設けていなかった。

 日本政府は、3度目となる全国瞬時警報システム(Jアラート)を北海道、東北、北関東など12道県に流した。各地の鉄道でダイヤが乱れ、学校の休校も相次いだ。

 蛮行で隣国を脅かす金正恩(キムジョンウン)政権に強い憤りを覚える。

 国際社会はまず、北朝鮮に事態の深刻さを伝え、強い非難の意思を示すべきだ。そのためにも国連安保理はただちに対応を協議する必要があろう。

 先の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けた安保理制裁はまだ緒についたばかりだ。中国やロシアを含む各国の今後の徹底履行を促したい。

 北朝鮮は、いま実施中の米韓合同軍事演習に反発し、グアム島周辺へ新型ミサイルの発射を検討しているとしてきた。今回は、発射の方法や飛行距離から、その実行能力を誇示しようとした可能性が高い。

 来月9日に建国記念日を控える北朝鮮は、核実験の準備を終えたとの指摘がある。一方で最近の暴走ぶりには、盟友である中国も懸念を公言している。

 新たな実験で核搭載のICBM開発に歩を進めれば、金政権は国際社会との敵対を決定づけ、自ら体制の維持を危うくさせることを自覚すべきだ。

 今回の発射により、日米韓はますます結束力が試される。

 安倍首相は「これまでとレベルの異なる深刻な脅威」としたが、米国防総省の報道担当者は「北米には脅威にならない」と分析した。

 トランプ政権にとって今回の発射は、明確に警告したグアム周辺への攻撃ではないが、同盟国の日韓への脅威が高まるという微妙な事態である。

 米政府は先週、北朝鮮の「前向きな変化」を評価したが、その認識をどう改めるのか。韓国の文在寅(ムンジェイン)政権もこれまでの対話路線から、どこまで圧力にかじを切るのか。安倍政権は米韓との調整力が問われよう。

 さまざまな挑発を駆使して、日米韓が元来抱える立場の差を刺激し、連携を崩そうとするのは北朝鮮の常套(じょうとう)手段だ。

 そんな戦術に乗せられないためにも、日米韓は綿密に情勢の認識をすりあわせ、一枚岩で平壌に向きあう強い結束の意識を共有せねばならない。

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