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 国際社会が声を一つに非難してもなお、金正恩(キムジョンウン)政権は愚行を続けている。国連制裁による外交的包囲網を強めつつ、局面転換の道を探るほかあるまい。

 北朝鮮がきのう、また北海道を越える弾道ミサイルを発射した。相次ぐ危険極まりない暴挙に改めて強く抗議する。

 6度目の核実験を受け、国連安保理は石油輸出の制限に踏み込む制裁決議を採択した。中国とロシアを含む全会一致の決議から、数日後の発射である。

 飛行距離は過去最長の約3700キロで、方向を変えれば、米軍基地のあるグアムにも届きうるとされる。対米攻撃のリスクは避けつつ、米国を対話に引き出す狙いがにじんでいる。

 だが、結果はまた裏目に出るはずだ。トランプ米大統領は圧力の強化に傾いている。安保理の緊急会合は、先の制裁決議の履行徹底を確認しつつ、新たな非難を加えるだろう。

 制裁に同調した中国では、大手銀行が北朝鮮系口座に利用制限を加えるという異例の動きが出ている。中南米でもメキシコやペルーが、北朝鮮大使に国外退去を命じた。

 比較的近い関係にあった国々からも見放されている現実を、金政権は直視すべきである。

 制裁決議を含む包囲網づくりはこれまで米国と中国が主導しているが、ミサイルが相次いで北海道上空を飛ぶ事態である。日本政府はもっと独自の役割を切り開く必要がある。

 小泉純一郎首相が訪朝し、金正日(キムジョンイル)氏に拉致問題で謝罪させてから、明日で15年を数える。

 両首脳が署名した平壌宣言は、国交正常化への展望をうたう一方で、ミサイル発射の凍結や日朝間での安全保障協議も盛り込んだ。

 北朝鮮は以降、数々の約束に背いてきたが、平壌宣言の破棄はいまだ宣言していない。

 北朝鮮は、核・ミサイルは米国との協議事項だと主張する。だが、米朝の本格交渉が見通せないなか、日本は単調に圧力強化を唱えるだけでは外交努力を尽くしているとは言えまい。

 北朝鮮問題で米韓とスクラムを組み、ロシアとも頻繁に対話を重ねる日本は、6者協議のような多国間の対話を呼びかけるにふさわしい立場にある。

 今月開幕した国連総会は、その好機だ。来週出席する安倍首相は、朝鮮半島を安定化させる利益を説き、米韓と中ロをつなぐ外交力が問われよう。

 同時に、日米韓首脳による3カ国会談も開かれる方向だ。平壌に隙を見せない3者の結束と決意を示してもらいたい。

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