[PR]

 五輪とは何か。開催都市はそこにどんな意義を見いだし、責任を担うのか。そんな問題を真剣に考える必要があることを、世界に突きつける決定だ。

 東京に続く2024年と28年の夏季五輪開催地に、パリとロサンゼルスが決まった。

 これまでは、大会の7年前に国際オリンピック委員会(IOC)が投票で決めてきた。24年大会には当初5都市が立候補したが、費用負担の重さに対する住民の反発から3都市が撤退。28年以降の状況も見通せないため、残ったパリとロスをいずれも「当選」させ、振り分ける異例の手法をとった。

 招致熱の冷え込みの背景には五輪の肥大化がある。もはや一部のごく限られた大都市しか引き受けられないのが実情だ。

 今後も五輪を続けようというのであれば、運営の根幹に踏みこんだ改革が不可欠だ。IOCは、2大会同時決定で手にした時間とエネルギーを、そこに傾注してもらいたい。

 たとえば、競技数や参加する選手の数を大幅に縮小する。複数の国や都市による共催を認める。事実上7、8月に限られている大会の時期を見直す。開催地をいくつかの都市に固定し、回り持ち方式にする――。

 これまではおよそ対象にならなかった選択肢も含め、幅広に研究し、議論する必要がある。

 国際競技団体も意識を変えなくてはならない。

 最高の舞台を求めるあまり、会場設備に対する要求は上がる一方だ。ハード面の整備はほどほどにして、選手が集中し、持てる力を発揮できる環境をどう整えるかという観点から、試合時間や運営方法などソフト面の改善を進めるべきだ。

 人々の五輪への不信を取り除くには、立候補段階での計画の審査と、開催地決定から本番までの準備期間中の点検も、これまで以上に重要になる。

 東京大会を見ても、経費は倍増している。当初の「コンパクト五輪」構想は大幅に変更された。立案時の日本側のずさんさに最大の問題があるとはいえ、それを見逃し、認めたIOCの責任も問われる。

 大会計画は、委員だけではなくスポーツ、建築、街づくりなどの専門家を動員して評価し、開催決定後も監視と助言を強めていくべきだ。コンパクト五輪を掲げるパリと、既存施設でまかなう節約五輪を訴えたロスの成功が見えてくれば、後に続こうという都市も出てこよう。

 この危機を乗り越えて、次の世代に引き継げるか。五輪は大きな岐路に立っている。

こんなニュースも