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 新幹線にバラ色の未来を期待し、巨額の公費をつぎ込み続けるのは、そろそろやめにしたい。人口減と財政難の日本にはもっと優先すべき課題がある。

 整備新幹線は今、北海道と北陸、九州の3路線が工事中だ。すべて完成するのは30年度で、建設費は計3・3兆円を超す。

 このうち、福岡と長崎を結ぶ九州新幹線長崎ルートが壁に突き当たっている。

 建設費を抑えようと、途中の佐賀県内の一部では既存の在来線を活用する計画だった。新幹線とは線路の幅が違うため、車輪の幅を変えられるフリーゲージトレイン(FGT)の新車両を導入するとしていた。

 ところが、国が進めてきたFGTの開発は約500億円を投じても安全上の問題が解決できず、目標の25年度までの導入は絶望的になった。運行主体のJR九州は7月、FGTの導入を断念し、全区間に新幹線用の線路を敷くフル規格化を求める考えを表明した。

 長崎県も同調するが、ちょっと待ってほしい。そもそも、実用化もできていない車両を当て込んだ建設計画に無理があった。見切り発車した国はもちろん、早期整備を訴え続けた地元にも責任がある。

 全線をフル規格にすれば建設費は倍増し、1兆円規模になりそうだ。国と地元の負担を増やすしかないが、納税者の理解は得られるのか。佐賀県は負担増に難色を示している。

 山形、秋田両新幹線のように、在来線の線路幅を広げる「ミニ新幹線」という選択肢も考えうる。与党が今後の方向性を検討しているが、投資効果を精査するなど、議論を一からやり直すべきだ。

 ほかの地域でも、「新幹線を早く」の声は高まるばかりだ。北陸や関西の自治体と経済団体は5月、財源の都合で国が31年度以降の着工としている北陸新幹線の大阪延伸を30年度までに完成させるよう要望した。

 四国や東北、山陰では、70年代から凍結状態にある新幹線計画を復活させようとする動きが活発になっている。おもな旗振り役はどこも政治家だ。

 あまりに熱に浮かされていないか。故田中角栄元首相の「日本列島改造論」以来、新幹線や高速道路、空港の整備は着実に進んできたが、それが必ずしも地方衰退の歯止めにならず、むしろ東京一極集中を促した現実を直視してほしい。

 誕生から半世紀余りを経た新幹線は、もはや「夢の超特急」ではない。立ち止まり、考え直さねばならない。

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