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 不正の闇はどこまで広く、根深いのか。神戸製鋼所の検査データ改ざん問題である。

 自社の製品が、取引先の求める基準を満たしていないのに、品質データを書き換えて適正だと偽っていた。必要な検査をしていないのに、検査証明書に架空の数字を記載した例もある。

 不正が見つかったのは、当初はアルミや銅製品の一部としていたが、主力の鉄鋼を含む計16製品に広がった。いずれも製造業の基礎となる金属材料だけに、出荷先は国内外の500社にのぼり、自動車や航空機、新幹線などにも使われている。

 問題を起こした現場は、国内の4工場のほか中国やタイなど海外拠点にも及ぶ。グループ全体で不正が常態化していたと見るしかない。まずは全容を把握し、安全性の確認を急がねばならないが、神鋼の対応には不信や疑問が募る。

 厳しく批判されるべきなのは、情報公開に後ろ向きな姿勢だ。8月末に経営幹部が問題を把握しながら、発表したのは今月8日だった。その後も対応は後手に回っている。川崎博也会長兼社長が13日に不正を明らかにした鉄鋼製品については、当の川崎氏がその前日、「不正はない」と述べたばかりだった。

 神鋼は外部の弁護士も入れた調査委員会を設け、1カ月後に結果を公表するという。しかし、委員会のトップは社長の川崎氏だ。調査を徹底し結果に説得力を持たせるには、利害関係のない第三者に任せるべきだ。

 神鋼は過去にも数々の不正を犯している。06年には、製鉄所で規制を超えるばい煙を出しながら、改ざんしたデータを自治体に報告していたことが発覚。08年には子会社が鋼材の品質データを偽造していたことがわかった。昨年6月にも、グループ会社が鋼線の強度を偽って出荷していたことが明るみに出た。

 なぜ過去の教訓が生かされず、不正が繰り返されるのか。企業統治が機能してこなかったのはなぜか。原因を究明し、抜本的な対策を練るとともに、川崎氏らが自らの経営責任を厳しく問わなければ、信頼回復はおぼつかない。

 神鋼以外でも、日産自動車で無資格者が完成車を検査していたことが明らかになった。大企業での相次ぐ不祥事は、日本の製造業全体への信頼を揺るがしかねない。

 厳しい国際競争にさらされ、高い品質とコスト削減、納期の厳守を求められるうちに、現場にひずみが生じていないか。すべての企業が足元を見つめ直してほしい。

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