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 未来への投資、という前向きな感じゆえか。各党が「教育無償化」を公約に掲げている。

 消費税を10%にする際に使い道を変え、幼児教育の無償化などに充てる。自民党がそう言えば、連立を組む公明党は私立高校の無償化推進を訴える。

 希望の党は増税凍結と幼児教育の無償化を同時にうたい、日本維新の会はすべての教育を無償化するため改憲すると意気込む。立憲民主党は高校の無償措置から所得制限を廃止するという。共産党もふくめ、「無償化」のオンパレードだ。

 国の懐が豊かなら、すべての教育を無償化するのが理想だ。だが日本は1千兆円の借金を抱える。財政とのバランスを考えないと、子どもたちの未来に大きなツケを回すことになる。

 財源を教育に回す分、ほかのどんな政策経費を、どれだけ削るのか。保育園から大学まで、どんな優先順位をつけるのか。そこまで語らなければ責任ある姿勢とは言えない。メリハリのないバラ色公約では、有権者は判断に困るばかりだ。

 たとえば、幼稚園や保育園には、家計の苦しい世帯向けの減免措置がすでにある。一律無償化によって恩恵を受けるのは、中間層と富裕層だ。

 収入の多寡を問わず、子育て世代すべての負担を軽くするという考えもあるだろう。しかしそのお金があるのなら、保育所の建設や保育士の養成・確保こそ急ぐべきではないか。

 そうした手当てを十分せずに無償化を進めたらどうなるか。保育所の需要をさらに掘り起こし、入所のための競争をさらに激しくさせる心配がある。

 認可保育所と認可外では保育料や環境に大きな差がある。それぞれに子どもを預ける人の間の不公平感も深まりかねない。働く女性を中心に「無償化よりも保育所を」との声が上がるのは、ごく自然なことだ。

 教育の無償化が政策課題として近年浮上したのは、7人に1人という子どもの貧困率の高さが社会問題化したのが大きい。ひとり親家庭の貧困率は5割を超える。親から子への貧困の連鎖を断つ必要性は、人々の間で共有されつつある。

 根底にあるのは、家計を支える保護者らの不安定な就労だ。全教育課程の無償化が実現したとしても、生活が苦しければ働かざるをえず、進学をあきらめる子はなくならないだろう。

 聞こえのいい教育無償化にとどまらず、就労支援などで生活の安定を図らなければ真の解決にならない。政党、候補者にはそこまで目を向けてほしい。

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