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 エネルギー政策をめぐって、二つの「ずれ」が広がっている。原発に対する国民の意識とのずれ、そして世界で起きている潮流の変化とのずれだ。

 電気をはじめエネルギーをどう使い、何でまかなうかは、生活や社会のあり方を左右する。政策には国民の理解と信頼が欠かせない。ずれをどうやって埋めていくのか。衆院選はそれを考える大事な機会である。

 福島の大事故を目の当たりにし、国民の原発への見方は一変した。各種世論調査では、再稼働への反対が賛成のおおむね2倍という状況が定着している。

 それでも、安倍政権は原発を基幹電源と位置づけ、活用する姿勢だ。必要性やリスクを正面から国民に説明しないまま、なし崩しで再稼働を進める。

 日本の外に目を向けると、先進国を中心に原発を減らす動きが相次ぐ。再生可能エネルギーが一気に普及し、脱原発と温暖化対策の両立が現実的な選択肢になりつつある。

 ずれを放置したままでは、政策の行き詰まりは避けられない。方向性をただす役割を担うべきなのは、国民の代表からなる国会である。

 だが、問題が複雑で専門的なこともあり、官僚が主導する構図は原発事故の後も変わっていない。とりわけ多くの課題を抱える原発政策では、透明性や民主的な手続きが欠けている。

 エネルギー情勢が転換期を迎えた今こそ、政治が責任を果たす時だ。知恵を集め、政策を練る。選択肢を示し、国民の意思を確かめる。そんな本来の進め方に変えなければならない。

 だが、選挙戦ではどの党も、自らの主張が抱える難題について、十分には語っていない。

 原発回帰を進める与党は、大事故時の対応や「核のごみ」の処分、核燃料サイクルといった根本的な課題でも、説得力のある解決策を示すべきだ。それを欠く今の政策は無責任である。

 一方、脱原発を訴える多くの野党は実現性を問われる。原発ゼロへの行程や再エネの普及策、社会全体のコスト増への対処などの説明が足りない。

 しかし、傍観してばかりもいられない。電気を使う暮らしの外側には、数多くの問題が積み重なっている。原発は、地元にとっては生活の安全や地域経済に直結する。離れた街に住む人も、再稼働すればその電気を使うかどうかを通じてかかわりを持つことになる。

 一人ひとりが、「自分事」としてエネルギーのことに考えをめぐらせる。それが、将来を選び取る出発点になる。

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